21 明日のご予定
先生とのやりとりはすんなり出てくるんですよねー(^_^;)
「健斗、明日はお前どうする?」
帰り際先生からそんなことを聞かれた。
「どうとは?」
「明日は土曜日、学校は休みだろ?私は午前中は仕事があるから家にいないが・・・」
そういえば明日は土曜日だった。夕飯のことや先生、千鶴ちゃんのことを考えていたらそのこと自体を忘れていた。とはいえ別にやることは変わらないので頷いて言った。
「もちろん来るつもりです。土日は大掃除をするには持ってこいのチャンスですから」
「そうか、ちーちゃんは私の仕事が終わるまでは保育園で預かってもらうから来るなら昼の準備だけ頼む」
「わかりました」
「あと、掃除するなら私達の寝室の隣の部屋には絶対に入らないこと。そこだけは今のお前にも見せるわけにはいかないからな」
「じゃあ、遥香さんの寝室は入ってもいいんですか?」
そう聞くと先生は少しだけ驚いた表情を浮かべてからくすりと笑って言った。
「ちーちゃんの衣服で興奮しないなら許可しよう」
「心配しなくても千鶴ちゃんに欲情することはあり得ませんよ」
「ほう?なら私の衣服には欲情するのか?」
男の子にとってデリケートな部分を聞いてくる先生。まあ、少なからず思うところがないわけではないが、流石に俺も主夫志望としてのプライドがあるので素直な気持ちを言った。
「これから毎日のように洗濯するのに欲情してたら身が持ちませんよ。多少の下心がないわけではありませんが」
「素直でよろしい。そんな素直な健斗にはご褒美をあげよう。何がいい?」
「ご褒美?なら、今度膝枕してください」
そう言うと先生はキョトンとしてから笑って言った。
「そんなことでいいのか?相変わらずお前は可愛い要求をするな」
「そんなことって膝枕は十分過ぎるほどのご褒美じゃないですか。遥香さんみたいな美人の膝枕は男子の憧れですよ」
「美人か・・・なあ、健斗。お前は私の容姿が整ってると思うか?」
突然そんなことを聞いてくる先生。いきなりのことに戸惑いつつも俺は言った。
「はい。遥香さんは美人です」
「そうか・・・」
少しだけ悲しそうな表情をする先生。その理由はわからない。でも俺はなんとなく先生のそんな表情を見たくないと言葉を続けていた。
「でも、遥香さんの魅力は外見だけじゃないと思います。千鶴ちゃんのことを大切に思う優しい母親の遥香さん、学校で生徒を教え導く先生としての遥香さん、そして一人の女性としての遥香さん。全部が俺にとっては魅力的です」
そう言うと先生はしばらく目を丸くしてから恥ずかしそうに目線を逸らして言った。
「・・・馬鹿。誰も褒めろとは言ってないだろ」
「すみません。でも本心です」
「ふん・・・ガキのくせに生意気なこと言うな」
そうはいいつつ嬉しそうに微笑む先生にほっと一安心する。何が先生の心を悲しみに染めたのかわからないが、先生はやはり笑ってる姿が一番いいと思ったからだ。