195.5 思わずのろける
「にしても、何年ぶりかなー」
「かなり会ってなかったからな」
二人きりになってから、遥香は古くからの友人の奈乃葉と話していた。先程の健斗の言葉に少なからず動揺しつつも、健斗から夫と名乗って自分の負担を少しでも減らそうとしてくれたことや、初めて敬語なしで少しだけ強めな言葉を言われたことにトキメイている自分がいた。
(まったく・・・どこまで私を惚れさせれば気がすむんだ)
今日の混浴だって、わざと健斗を誘うようなことをしてしまった。かなり悩んでしまうが、それでも健斗を自然と求めてしまうのだ。
「ねぇ、遥香」
「なんだ?」
声を潜めてから奈乃葉は遥香に聞いた。
「さっきの子と、本当はまだ結婚してないんだよね?」
「・・・気づいていたのか?」
「えっとね、ちょっとだけ違和感があったから。あ、でもうちの旦那は知らないだろうし、私も誰にも言うつもりはないから!」
「そうか・・・ありがとう」
そう言った遥香に微笑んでから奈乃葉は聞いてきた。
「和也は本当はどうしたの?」
「・・・死んだよ」
「そっか・・・あの子とは上手くいってるの?」
「いつも迷惑をかけてばかりだ。私やちーちゃん・・・娘のことばかり気にして自分のことは疎かにしてしまう」
そんなところも好きだといわんばかりの遥香に苦笑してから奈乃葉は笑って言った。
「ふふ、いい旦那さんになれそうだね。あの女の子は和也との子供なのかな?」
「あぁ、そうだ」
「よく、あの子受けれたね。子持ちの未亡人なんて一番面倒くさいのに」
確かにと改めて思ってから遥香は微笑んで言った。
「あいつは少し変わってるからな。いつも私やちーちゃんのために色々していて、そうして尽くすのが何より楽しいって顔して当たり前のように家で出迎えてくれる。あいつの笑顔を見れば自然と私もちーちゃんも笑ってしまう」
最近、家に帰るのが楽しいと感じるのだった。当たり前のように出迎えてくれる人がいること、温かいご飯に一緒に寝る夜ですら愛しく感じてしまう。
学校で仕事をしていても健斗の顔ばかりかり浮かんでしまって、時々スマホの待ち受けを見たり健斗からのメッセージをチェックしたりととにかく健斗のことを考えてしまっている。
和也の時も感じた・・・いや、あの時以上のこの気持ちがきっと好きという感情なのだろうと改めて思う。そんな遥香の熱烈な言葉に奈乃葉は苦笑してから言った。
「ラブラブで何よりだよ。結婚式にはよんでね」
「するならな」
遥香としては健斗が何やら調べているのを知ってるのでそう答えると、そこから二人は少しだお互いにのろけ話をするのだった。




