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195 思わぬ再会と旦那様

ちょっと頑張る

「あれ?もしかして遥香?」


お風呂から上がって、皆で飲み物を買いに売店まで降りていくと、何やら先生に声をかける女性の姿が。その女性を見てから先生は驚いたように言った。


「奈乃葉か?久しぶりだな」

「ねー!凄い偶然!」

「奈乃葉。お友達かい?」

「そうなの!私の学生時代の友人の遥香よ!」


嬉しそうに旦那さんに話しかけてから、ふと俺と千鶴ちゃんを見てから首を傾げて聞いてきた。


「ところで和也は?」

「あーえっと・・・」


困ったように視線を俺に向けてきたので、俺は人見知りをしている千鶴ちゃんを抱っこして二人から見えないようにしてから、意を決して笑顔で言った。


「初めまして。遥香の夫の巽健斗と言います。うちの遥香がいつもお世話になっております」


その言葉に先生は驚いたような表情を浮かべていたが、それに気づかずに女性は聞いてきた。


「夫って・・・え?和也は?」

「色々ありまして、今は私が遥香の夫です」

「随分若く見えるけど・・・」

「無理もありません。高校を卒業してからすぐに入籍しましたから」


何故こんな嘘をつくのかと言えば周りのお客さんからの視線を集めてしまっているからだ。下手に知り合いに会ってしまったので、もう素直に開き直ってそうして一足先に先生の夫を名乗るのだ。それにこれで少しでも俺に関心が行けば先生の負担は減らせるからだ。


「あの和也と別れて年下の男の子と・・・やるね!」

「えっと。奈乃葉さんでしたか?上のお名前を聞いてもいいですか?」

「朝比奈だけど・・・」

「把握しました、朝比奈さん。色々と聞きたいことはあるでしょうが、遥香を困らせたくはないので控えめにお願いします」


少し失礼かなと思っていたが、そんなことを気にした様子もなく朝比奈さんは笑って言った。


「へー、遥香ったらいい旦那をゲットしたのねー。そうだ!折角だから色々話さない?」

「私は構わないが・・・」


チラリと俺を見てくるので、俺はそれに苦笑しながら言った。


「千鶴ちゃんは俺が面倒見てますから大丈夫で・・・だよ。遥香の好きにするといい」


どうにも口調を変えるのに無理があったが、気にしていないようなのでよしとする。とはいえ、流石に戻りが遅いと心配になるのでなるべくすぐに戻ってくるように言ってから朝比奈さんの旦那さんに挨拶して飲み物を買って千鶴ちゃんと先に部屋に帰る。


「おにいちゃん、ままとけっこんするの?」


道中そんなことを聞かれたので俺はそれに苦笑しながら答えた。


「かもしれないね」

「そっか・・・」

「嫌かな?」

「うんうん。おにいちゃんならうれしい」

「ありがとう千鶴ちゃん」


深くは考えてなかったが、千鶴ちゃんがこの時に納得しているようだったのは後から考えれば凄いと思った。




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