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194 家族のお風呂

のんびり

「ふぅ・・・極楽、極楽」

「ごくらく、ごくらく」


湯船に浸かってから、そう呟く先生とそれを真似する千鶴ちゃん。なんとも似た者親子だなぁと思いながら俺は言った。


「もう、千鶴ちゃんに変な言葉教えないでくださいよ」

「いいだろ?気持ちいいんだから」

「まあ、いいですけど」


日頃の疲れを癒せるなら深くは言うまい。ちなみに同じ浴槽に入っていながらなんとか理性を保っているが、これでも結構頑張っている方だった。


父親スイッチが入っているので、表面上は普通に見えるが内心はそこそこテンパっていた。年頃の男としてやはり好きな異性の裸にはそれなりに興奮してしまうのだ。


ネットで調べた時には何も感じなかったのに先生に対してだけこうなるのは本当に何故だろう。


「なぁ、健斗」

「なんですか?」

「こうして入るのは二度目だな」

「・・・そうですね」


あの時はまさかあれ以上に神経を使うことになるとは思わなかった。世の中なかなか上手く出来ているものだ。


「おにいちゃん」


そんなことを考えていると先生に甘えていた千鶴ちゃんが俺の方にやってきてから膝に座ると笑って言った。


「えへへ、おにいちゃんとままといっしょのおふろたのしい」

「・・・そうだね。俺も楽しいよ」


こんな無垢な笑みを浮かべられたら俺もそうありたいと思ってしまう。本当に子供というのは可愛いものだ。いや、多分自分の子供だからこんなに可愛いと感じるのだろう。そんな風に一足先に父親としての想いを抱いていると、先生も俺に近づいてきてべったりと抱きついてきた。


「ずるいな。私も混ぜてくれ」


その柔らかい感触に我を忘れそうになってしまう。い、いかん。落ち着かねば!俺は羊さんだ。狼ではないのだ。そう心に念じていると、千鶴ちゃんは嬉しそうに俺と先生の間に入って微笑んだ。


「ちーもまぜて」

「お、ちーちゃんも混ざるか?こいこい」

「うん。おにいちゃんとままといっしょ♪」


ムニムニと先生の柔かさに飲まれそうになるが千鶴ちゃんのお陰で踏みとどまれた。やはり娘というのは父親の心の支えだな。


「なあ、たまにこうして三人で風呂に入るか」

「うん!やったー!」

「決まりみたいだな。健斗もいいよな?」


端から拒否権はなさそうだが、俺はそれに苦笑して言った。


「お手柔らかにお願いします」

「おう。任せな」


まあ、どうせそこまで多くないだろうと思って安請け合いしてしまったことにこの時の俺は気づいてなかった。数日後、自宅に戻ってから毎週の恒例行事のようになるとは本当にわからなかったのだ。いや、マジで。




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