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188 コスプレイヤー

今さらコミケというのはスルーでお願いしますw


「・・・雅人。俺は今物凄く後悔してる」

「奇遇だな。俺もだ」


カシャカシャと、カメラのシャッター音が鳴り響く。残念ながらそれを発しているのは俺のカメラではなく、周りの撮影者達だ。では、俺は何をしているのか?


「きゃー!快斗くーん、こっち見てー!」

「もっと、色っぽく快斗を抱いて、良樹くん!」


そのリクエストに答えて良樹くんこと雅人が、快斗くんこと俺を抱きしめる。男同士の絡みに観客はおおいに沸くが、俺と雅人のテンションは下がっていく。いやね、親友とコスプレして抱き合うとか誰が想像するのだろうか。


会場に着いてから直ぐに斎藤と会えたは良かったが、何故か一緒にいた斎藤の彼女に俺と雅人はされるがままコスプレをさせられていた。


幸いなのは男のコスプレであることだが、恐ろしいことに先ほどまでは俺は女の子のコスプレをさせられていたのだ。生まれて初めての女装は物凄く皆から可愛いと言われることになった。うん、全く嬉しくない。


そうして撮影が一段落してから、ようやく休憩に入ると、斎藤は申し訳なさそうに言った。


「すまないでござる。どうしても二人にコスプレさせたいと梨子が言うから」

「あたしのせいかな?でもでも、君達物凄く似合ってたよー!」

「えっと、高橋さん」

「何かな?あ、敬語とかいらないよー」

「何故俺だけ女装もしたの?」


雅人はこの一回のみで俺だけが女装したのでそう聞くと、斎藤の彼女の高橋梨子(たかはしりこ)さんは、笑って言った。


「だって、君女装似合いそうなんだもん!」


ぐさりとその言葉が刺さる。え?やっぱり俺って童顔なのかな?


「ま、冗談はさておき、ある人に頼まれたからねー」

「ある人?」

「私が大好きなサークルの先生だよー。スイスイって名前の」


・・・おや?聞き間違いかな?その名前は知ってるような気がする。いやでもまさかね。


「あ、そういえばスイスイ先生から君に伝言『この写真は婚約者に送るね』だって。婚約者いるんだね君」


思いっきり知ってる人だった。絶対これ水橋さんだよ。というかどうやって俺を特定・・・いや、コミケに今日行くことは伝えてあったし、何かしらの偶然の結果なのだろうか?だとしても笑えないが。


思いっきり弱味を握られたことに泣きそうになるが、雅人が俺の肩に手を置いて言った。


「そんなに落ち込むな。むしろ男の人生より楽しそうだぞ?」

「今すぐ黙って欲しいよね、ホントに」


女装自体を否定はしないが俺は父さんと同じ道は歩まない予定なのでご遠慮願いたいのだ。そうして俺はコミケという舞台で初めてコスプレをするのだった。




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