184 ナイトの決意
作者も一応経験があるので、偏見とかはないですのでそこはご了承くださいm(_ _)m
「ナイトくん、ちょっといいかな?」
遊び疲れた千鶴ちゃんを部屋に運んでから寛いでいると、そんなことを言ってくる水橋さん。時間はあるので問題はないが、一応先生に視線を向けると先生は少しだけ眉を潜めて聞いた。
「健斗に余計なことはするなよ」
「大丈夫だって、はるるん。ちょっと話したいことがあるだけだからね。取ったりはしないよ」
「・・・ならいいが、すぐに返せよ」
「はいな。じゃあ移動しようかナイトくん」
いつも通り選択肢はないので、そのまま連れだって部屋を出ると、人気の少ない夜のビーチまで連れ出された。しばらく黙っていた水橋さんはやがてこちらに顔を向けると真剣な表情で言った。
「ナイトくんはさ、はるるんのこと好き?」
「当たり前です。俺の最愛の人ですから」
「にゃははー、即答だね。まあ、そうだよね・・・あのさ、もし、はるるんが君に嘘をついていたらどうする?」
その言葉に少しだけ考えてから俺は言った。
「それも全て受け入れて、遥香さんを愛します」
「・・・そっか。はるるんは愛されてるねぇ」
「人間なんだし嘘くらいは誰でもつきます。それが今の俺に言えないのなら、言ってもらえるように努力をします。遥香さんが俺のことを信じて言ってくれるように頑張ります」
その俺の言葉に水橋さんは少しだけ困ったように笑ってから言った。
「ごめんね、そこまで情熱的に言われるとは思わなかったけど・・・そうだね、これは話した方がいいかもしれないね。私からはあまり細かいとこは言えないけど、ナイトくんはほとんど全部知ってるんだよね?」
「はい。一応は」
「はるるんが一時期精神科に通っていたことは?」
その言葉に俺は少しだけ驚いてから、少しだけ納得して聞いた。
「・・・和也さんが死んだ時ですか?」
「その様子だと知らなかったみたいだね。はるるんはその時のことを隠したがってたみたいだけどね」
「水橋さんは最近まで遥香さんと交流なかったのになんで知ってるんですか・・・いや、瑠美さんですか?」
こくりと頷いてから水橋さんは言った。
「たまに報告貰ってたんだけどね。はるるん無理してそれを隠していたみたい。今はもう通ってないし、大丈夫みたいだけど・・・鬱病って、一度かかるとなかなか治らない病気だからね」
「・・・だとしても、俺が遥香さんのことを嫌いにはなりません」
むしろそれだけ支えが必要なので今まで以上に頑張ろうと思っていると、水橋さんは笑って言った。
「うん、そうだと思ったよ。ナイトくんなら偏見は持たないだろうけど・・・やっぱり本人から直接聞いた方がいいかもね」
ちょっと待っててと、言ってからこの場を離れる水橋さんを見送ってから俺は少しだけ悔しい気持ちになっていた。どうして俺はもっと早く先生の側にいられなかったのだろうと、思ってから空を見上げてしまうのだった。




