180 スイカと旅行
お出掛けの話
「お出掛けですか?」
「ああ。瑠美と瑞穂と一緒にな」
お祖父ちゃんの家から帰ってきて、お土産のスイカを切ってから出すと、そんなことを言ってくる先生に俺は微笑んで言った。
「いいと思います。お留守番は任せてください」
「何を言ってるんだ。お前とちーちゃんも一緒だよ」
その言葉に少しだけ驚きつつ俺は聞いた。
「あの、友人と妹との旅行なのでは?」
「あいつらに是が非でもお前とちーちゃんを連れてこいと言われてな」
「まあ、俺は構いませんが・・・どこに行くんですか?」
「海だよ。今年から瑠美の息子が近くの農家に行ったらしいんだが、夏場は海の家をやってるらしくてな。それで誘われた」
凄い経歴に驚きつつも俺は少しだけ不安になりながら聞いた。
「千鶴ちゃんはまだ小さいですし、海は危ないんじゃないですか?」
「私を誰だと思ってる?これでも水泳でメダルを貰ったことがあるくらいだ。それにお前も泳げるだろ?」
「ええ。まあ」
確かに泳げるが、それと人命救助は違うし、どうするかと迷ってから俺は頷いて言った。
「わかりました。ただ、あまり海には入らずに千鶴ちゃんは砂浜メインで、遥香さんもナンパされないようになるべく俺の側にいてください」
「お?私の心配してるのか?」
「当たり前です。遥香さん美人だから海では絶対にナンパされます。だから絶対に俺の側から離れないでください」
チャラい男に、いや、他の誰かに先生を取られるのは我慢できないのでそう言うと先生は嬉しそうに微笑んでから言った。
「わかったよ。ただしその言葉を後悔するなよ?」
「当たり前です。それはそうと千鶴ちゃんの水着、保育園のやつしかないですね。買いにいかないと」
「私もここ数年買ってないから買いにいかないとな。どんな水着がいい?」
「それを俺に聞くんですか?」
その言葉に先生は色っぽく微笑んでから言った。
「今ならお前の好みの水着になるぞ?」
「その言葉は魅力的ですが・・・あまり刺激が強いと千鶴ちゃんの前で暴走しそうなので遠慮しておきます」
危うく千鶴ちゃんの前で先生を襲いかねないのでなんとか辞退すると先生はくすりと笑って聞いてきた。
「じゃあ、ちーちゃんの水着選びは任せた」
「俺ですか?」
「私が選んでる間にちーちゃんのを選んでやれ。お前なら出来るだろ?」
「はぁ・・・わかりました」
そうしてこの後三人で買い物に出掛けたのだが、千鶴ちゃんの水着を選ぶのはわりと楽しかったです。可愛い千鶴ちゃんの水着なので色々と買いたくなるのを押さえて少なめにした。よく頑張った俺!うん、よくやったよ!




