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172 夏祭り

屋台

「わぁ・・・すごい」


会場に着くと、千鶴ちゃんは嬉しそうにそう言った。会場はそこそこ賑わっており、千鶴ちゃんのサイズだと迷子になりそうなので、俺は千鶴ちゃんの手を繋いでから言った。


「迷子にならないように手を繋ごうか」

「うん!」

「本当にお前はちーちゃんになつかれてるな・・・」

「あ、おにいちゃんあれ!」


微笑ましそうそんなことを言う先生。そんな先生に何かを言う前に、俺は千鶴ちゃんに手を引かれて近くの金魚すくいの屋台に向かった。


「むぅ・・・だめだ」

「なかなか難しいからね」


2回ほど千鶴ちゃんはチャレンジしたが、すぐに破けてしまい少しだけ寂しそうなので、俺はおじさんにお金を渡すと、一匹だけ大きな金魚を一回ですくい取った。


「わぁ・・・おにいちゃんすごい!」

「やるな健斗。金魚すくい得意なのか?」

「前にお祖母ちゃんにコツを教わったので」


そう言っておじさんから金魚を受け取り、俺は千鶴ちゃんに言った。


「これからしばらくうちで飼うから、千鶴ちゃんが名前をつけていいよ」

「えっと・・・じゃあ、ありす」


多分、不思議の国のアリスからきたのだろう。こないだ読んでから、随分とお気に入りだったからね。金魚鉢とかは後で用意するとして、基本的には俺が世話をしつつ、千鶴ちゃんが楽しめるようにしないとな。


そうして金魚すくいを終えて次に行ったのは、たこ焼きの屋台。熱々のたこ焼きを受け取った俺は、よく冷ましてから千鶴ちゃんの口にたこ焼きを入れる。


「健斗、私も」

「はいはい」


そして、何故か先生にも食べさせる。わたあめ、チョコバナナでも似たようなことになりつつ、しばらく屋台を見ていると、千鶴ちゃんが興味を示したものがあった。それは・・・


「おにいちゃん、あれ」

「くじ引きか・・・」


最近はあまり見かけなくなったくじ引き。その名の通り、景品に繋がってる糸を引いて当たったものが景品というものだが、俺はそれを見てから、こないだの福引きのことを思い出して先生を見る。すると先生はそれに苦笑したので、とりあえずやることにした。


まあ、結果はもちろん千鶴ちゃんが大きなものを当ててしまったのだが・・・これは本当に大丈夫なのかな?将来運気が下がったりしないよね?どうせなら俺から運を絞っていいから、先生や千鶴ちゃんは幸せであって欲しいものだ。


「おにいちゃん、おにいちゃんもやろう?」

「・・・うん、そうだね」


まあ、とりあえず俺は今凄く幸せであることだけは、確かだろうと思う。



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