157 夕飯に驚愕
好き嫌い
「む・・・」
「もしかしてお口に合いませんでしたか?」
千鶴ちゃんとお風呂からあがってからすぐに夕飯を用意すると、食べてから少しだけ驚いたような表情を浮かべるお義父さんにそう聞くと、お義父さんは首を横にふって言った。
「いや、凄く美味しいが・・・健斗くんはもしかして遥香の好みを熟知しているのかな?」
「熟知とは言えないですが、遥香さんと千鶴ちゃんに出して、美味しいと言ってもらえるようには頑張ってます」
「そうか・・・」
「うふふ、とっても美味しいわよ。この筑前煮なんて凄く丁寧に作ってるわね」
「お二人の好みがわからずにとりあえず作ったのですが、喜んでいただけたなら幸いです」
遥香さんの野菜嫌いにはそれなりに理由がありそうだと思ったので、こうして二人にはなるべく野菜を多めに使ってはみたが、見事にはまったらしい。
「それにしても遥香が野菜を食べるとはね」
「健斗の作るものは美味しいいからな」
「あら?ママのは不味いのかしら?」
「じゃなくて・・・健斗が作ると不思議と美味く感じるんだよ」
そんなことを言われたら嬉しくなるので、俺は照れ隠しに思わず千鶴ちゃんに聞いていた。
「千鶴ちゃん、食べられるだけでいいからね」
「うん!でもおにいちゃんのごはんおいしいからいっぱいたべちゃう」
「健斗くんはもしかして、嫌いなものは残させるのかな?」
お義父さんからそう聞かれたので、俺は素直に答えた。
「場合によりますが、食べてくれないのは自分の未熟さだと思ってますから」
「好き嫌いはあまりよくないと思うが・・・」
「ええ、ですが千鶴ちゃんも遥香さんもきちんと好みがあるので、それを好き嫌いと勝手に定義したくはないのです。二人がなんでダメなのかを調べて、食べられるようにする。そうして、少しづつなれていって欲しいんです」
アレルギーとかを好き嫌いと定義して、大変な事態をおこすのと同じことだ。偏見や固定観念にとらわれても仕方ない。俺は二人のことをしっかりと見てから、自分のとれる手段で模索するのだ。そんな俺の言葉に、お義父さんは少しだけ考えてからため息まじりに言った。
「・・・そうだな。結果が全てだ。私の考えも古くさいのだろう」
そう独りごちるお義父さんに首を傾げていると、お義母さんが笑いながら言った。
「うふふ、気にしなくていいわよー。この人は好き嫌いに少しだけうるさいだけだからぁ」
「わかりました」
まあ、大方察しはついた。おそらくお義父さんの好き嫌いに関することで、遥香さんの野菜嫌いに拍車がかかったのだろう。そんな分析をしながら、俺たちは夕食をとるのだった。




