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155.5 親子会議

会議なのかな?


健斗が千鶴を風呂にいれたのを確認してから遥香は二人の前の席に座って言った。


「健斗に余計なこと言ってないよな?」

「まあ、失礼ね。遥香ちゃんたらママを信じられないの?」

「1ミリも信じてはいない」


この母親のことだからどうせ余計なことをしたのではと勘ぐる娘に対して父親である暁斗は言った。


「私も霞もお前が心配だったんだよ。和也くんのことがあったからね」

「・・・だとしても、私はもう子供もいる成人した大人だ。あまり余計なことはしないでくれ。たださえ健斗には負担をかけているのにこれ以上重荷は増やしたくないんだ」

「重荷ねぇ・・・これを聞いてもそれが言えるかしら?」


そうして霞が取り出したのはボイスレコーダーだった。何をするのかと眉を潜める遥香だったが、聞こえてきた声にその疑問はかき消える。


『健斗くん。一つ聞いてもいいかな?』

『ええ、どうぞ』


父と健斗の会話だ。


『君は和也くんのことをどのくらい知ってるんだい?』

『そう多くはありません。遥香さんが話してくれたことだけは知ってますが、それ以上は知りません』

『それを聞いても君はあの子のことを好きでいられるのかな?それに他の男との子供であるちーちゃんのことを実の子と同じように愛せるのかな?』

『まあ、嫉妬心がないと言えば嘘になります』


その言葉に少しだけドキリとしてしまう。健斗がそんな感情をしっかりと言葉にしたことはなかったからだ。しかし、次の言葉でそれらは全て消えてしまった。


『それでも俺が好きになったのは黒羽遥香という一人の女性です。過去も未来も含めて俺は遥香さんのことを受け入れます。その上で愛してます。それに他の男の子供じゃありません。俺にとって千鶴ちゃんはかけがえのない家族です。だから俺はあの子の本当の父親になりたいんです』


その言葉に遥香が顔を赤くするのを見てから霞は微笑んで言った。


「愛されてるわねー」

「・・・うるさい」

「もう、照れなくてもいいじゃない。でもけんちゃんたら高校生なのにこんなにしっかりしてて、一途で尽くしてくれるなんて本当に凄いわねー。それだけ遥香ちゃんのこと大好きなのね」


まさかこんな形で健斗の本音が聞けるとは思わずに遥香は心から健斗を愛しく思いながら思わず呟いていた。


「本当に・・・私をどれだけ惚れさせれば気がすむんだあいつは・・・」

「うふふ、まあ安心したわ。今時あんな好青年いるのねー」

「ああ。私もびっくりしたよ。おまけにちーちゃんとあそこまで仲良くなれるなんてね」


帰ってきた時の反応から暁斗は若干ショックを受けつつもそれだけ受けいられた健斗のことを凄いと思っている。


「まあ、私も霞も健斗くんなら安心して任せられる。頑張るんだぞ、遥香」

「言われなくてもわかってる」


そうして家族会議は健斗の公開告白により幕を閉じたのだった。なおこの台詞が全員に聞かれていることをこのときの健斗は知るよしもなかった。




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