153 お迎えは二人で
二人でお迎え
「こんにちは先生」
保育園に着いてからそう千鶴ちゃんの先生に声をかけると千鶴ちゃんの先生は微笑んで言った。
「あ、千鶴ちゃんのお兄さん。お迎えですか?」
「ええ、まあ」
「あれ、お隣の方は・・・」
「始めましてー。けんちゃんの愛人です!」
笑顔で固まる千鶴ちゃんの先生に俺はため息混じりに言った。
「千鶴ちゃんの祖母です。こちらに用があったそうなので一緒に来ました」
「あ、そうでしたか。すみません少しびっくりして」
「もう、けんちゃんたらすぐバラすなんて酷いわー」
「暁斗さん悲しみますよ?」
そんなやり取りを見てから千鶴ちゃんの先生は納得したようですぐに千鶴ちゃんを呼びに行ってくれた。
「もう、けんちゃんたらいけず」
「そういえば、霞さんは千鶴ちゃんに会うのはどれくらいぶりなんですか?」
「んん、そうねー確か産まれた時は会ったかしら」
その言葉に俺は思わず天を仰いでしまった。これは一波乱あるな。
「おにいちゃん!」
そんなことを考えていると千鶴ちゃんが俺を見つけて抱きついてきた。それをよしよしとしていると、千鶴ちゃんは近くにいたお義母さんを見てから少しだけびくびくしながら聞いた。
「だ、だれ?」
「えっとね、千鶴ちゃんのママのママ。千鶴ちゃんからしたらお祖母ちゃんだよ」
「おばあちゃん?」
キョトンとお義母さんを見てから千鶴ちゃんはペコリと頭を下げた。それを見てからお義母さんは嬉しそうに微笑んで言った。
「まあまあ、可愛いわー!遥香の幼い頃を思い出すわねー」
「霞さん。千鶴ちゃんが怯えますのであまり大きな声は控えてください」
「あら、ごめんなさいね」
「ううん、だいじょうぶ」
そうして俺に初めて会った時のようにぎこちなく笑うのを見てからお義母さんは少しだけため息をついて言った。
「不器用なところまであの子に似たのねー。でもさっきのけんちゃんへの笑顔見たら心配なさそうで良かったわ」
「ええ、もちろんです」
俺は千鶴ちゃんの頭を撫でると優しく言った。
「大丈夫だよ。お祖母ちゃんは千鶴ちゃんに優しいから。ですよね?」
「ええ、可愛い孫ですもの♪」
「う、うん。わかった」
そう言って俺の袖を掴みつつ笑顔を浮かべようとするのでそこがお義母さん的にもツボだったのか微笑ましそうに見ていた。まあ、可愛いわな。それにしてもお義母さんでこの様子だとお義父さんに会ったらどうなるか心配で仕方ない。まあ、そこら辺のフォローも俺の仕事だし頑張ろう。そう思いながら俺は千鶴ちゃんの頭を撫でるのだった。




