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152 それでも愛してる

ただそれだけの話


「あ、すみません。俺はそろそろ千鶴ちゃんを迎えに行きます」


しばらくお義父さんとお義母さんと色々と話しているといつの間にかそんな時間になっていたので俺はそう立ち上がるとお義母さんが言った。


「なら、私も一緒にいいかしらー。ちーちゃんに会うなんて久しぶりだから待ちきれないのよー」

「私はテレビでも観ながら待ってるよ。健斗くん、霞のこと任せてもいいかな?」

「ええ、わかりました。お客様のお義父さんをお一人にしてしまいますが・・・」

「心配しなくていい。いきなり来た私達が悪いのだからね」


しばらく話してわかったけど、お義父さんはわりと常識的な部分がある。ただ、お義母さんに対して物凄く甘いのでブレーキ役には似つかわしくないだろう。お義母さんはかなり明るくて好感が持てるが、結構色々とストレートな上に行動力もあるので、先生が会わすのを躊躇ってた理由もわかった。


「そうそう、なんなら私もお料理手伝いましょうか?娘達はあんまりお料理手伝ってくれなかったからけんちゃんとするのは楽しみだわー」

「はは、そうですね。とりあえず千鶴ちゃんを迎えに行ってからにしましょうか」

「ふふ、じゃあ準備するわねー」


そう言いながら楽しそうに準備をするので俺もさっさと行こうとするとその前にお義父さんに声をかけられた。


「健斗くん。一つ聞いてもいいかな?」

「ええ、どうぞ」

「君は和也くんのことをどのくらい知ってるんだい?」


思わぬ質問に少しだけ考えてから素直に答えた。


「そう多くはありません。遥香さんが話してくれたことだけは知ってますが、それ以上は知りません」

「それを聞いても君はあの子のことを好きでいられるのかな?それに他の男との子供であるちーちゃんのことを実の子と同じように愛せるのかな?」

「まあ、嫉妬心がないと言えば嘘になります」


和也さんには色々と思うところはあるが、それでも俺の気持ちは変わらない。


「それでも俺が好きになったのは黒羽遥香という一人の女性です。過去も未来も含めて俺は遥香さんのことを受け入れます。その上で愛してます。それに他の男の子供じゃありません。俺にとって千鶴ちゃんはかけがえのない家族です。だから俺はあの子の本当の父親になりたいんです」


そう、結局はそれだけの話なのだ。好きな人と大切な娘。ただそれだけなのだ。そんな俺の言葉にお義父さんは目を丸くしてから笑って言った。


「本当に君は高校生なのかな?まあ、でも君となら仲良くやれそうだ。そのうちお酒には付き合ってもらうからね」

「ええ、もちろん」


こうしてお義父さんとは仲良くなれそうなのだが、この時お義母さんが密かにボイスレコーダーを起動させていて、俺の言葉を録音していたことにはこの時の俺は気付かなかった。




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