143 反省と感謝
反省
「少し言い過ぎたかな・・・」
冷静になってみるとあの子に八つ当たりしただけのようにも思える。でもなんとなく他人の気持ちを勝手に決めつけるようなことをするあの女に腹がたってしまったのは事実だ。
若いうちの暴走だとわかってはいても、やっぱりどうしても言わずにいられなかったのだ。
「お待たせ、健斗」
そうしてしばらく待っていると雅人がやってきた。俺は少しだけ申し訳なく思いながら言った。
「ごめん、あんまり役に立てなかった」
「いや、むしろ嬉しかったぞ」
「嬉しい?」
雅人の表情には嘘はなく、むしろすっきりしたような表情だった。
「あの手の女から絡まれるたびに思っていたからな。まあ、まさかそれを健斗が代弁するとは思わなかったがな」
「まあ、成り行きというか」
「成り行きねぇ」
「というか、あの子はいいの?」
そう聞くと雅人は頷いて言った。
「ああ、少し荒れてはいたが問題ない。まあ、夜道には気をつけた方がいいだろうがな」
「後ろから刺されるやつじゃん」
結構根に持たれているようだ。馬鹿なことをやってしまったという後悔を少しだけしていると雅人は笑って言った。
「ま、冗談はともかく、問題ないだろう。お前のことなんてすぐに忘れるさ」
「雅人と別れたら恨み買いそうなんだけど?」
「心配ない。助っ人を呼んだからな」
「助っ人?」
「あの手の女は他に依存する相手を見つければ何の問題もない。寄生虫みたいなもんだ」
結構酷いが言いたいことはわかった。
「つまり雅人以外に依存する相手がいればいいと?」
「そゆこと。ある意味お前に近いかもな」
「雅人、流石に俺はあそこまで自己中じゃないでしょ?」
不安になってくる。あのレベルならかなり迷惑な存在なのでは。
「そうか?結構近いと思うぞ。なにせお前は決めたら周りが見えなくなるとこあるからな」
「そんなことは・・・」
「現に、黒羽のことなんかは誰に何を言われても気にしないだろ?」
「それは、まあそうだけど・・・」
確かに先生や千鶴ちゃんのことなら妥協は決してしないで突き進むだろうけど、それは果たして同じなのだろうか?
「まあ、俺から言わせればお前は献身的な依存タイプだろうな。尽くすことに悦びを感じるみたいな」
「好きな人のために頑張るのは楽しいと思うけど?」
「俺には一生わからない類いのものだな」
そう笑う雅人の表情はどこか寂しそうだった。それでも最後には笑って言った。
「ありがとうな親友」
「・・・困った時くらいは助けるよ、親友」
少しだけ恥ずかしいがそう言いながら何故かハイタッチをする。雅人は昔からこれが好きなのだ。スポーツじゃあるまいに。




