表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/813

141 カラオケと罵声

カラオケ


「うわ、きっも。いかにも童貞っぽい」


出会って三秒でこんな台詞を吐く人がいるとは思わなかった。目的のカラオケに雅人と二人で向かうと、入り口で待っていた他校の制服のハデな外見の女子生徒に出会い頭にそんなことを言われたのだ。自己紹介とかは一切なく、雅人の隣にいた俺に躊躇いなく言ったのだ。


「こら、そういうこと言うなよ。こいつが気にするだろ」

「雅人、フォローの相手間違ってる」

「ま、冗談はさておき、いきなり俺の親友にそんなこと言うなよ」

「もう、雅人ダメじゃん!折角のデートなのにこんな奴連れてきたら空気最悪じゃん!」


随分と色々言ってくれるが、俺はため息をつくだけで何も言わなかった。最初の会話から知能が感じられないので話すだけ無駄だろう。こういう人間は自分のルールで生きてるので下手に話すとかえって面倒なことになる。


「ていうか、アンタさっさと帰れば?」


だと言うのにこちらに矛先を向けてくる女。まあ、当然かもしれないので俺は少しだけ諦めて言った。


「雅人からは友人とのカラオケと聞いているから、雅人の友達だね。初めまして」

「はぁ?いみふだし。私は雅人の彼女だから」

「自称かな?」

「じしょうって何?」

「いや、ごめんごめん。難しかったね」


義務教育の敗北を悟ってしまう。まあ、仕方ないだろう。


「じゃあ、雅人に聞いてみようか。雅人、俺は不要かな?」

「いや、むしろお前と遊ぶついでだからいてくれ」

「はぁ!?アンタふざけてんの!雅人に聞いたら優しい雅人はアンタみたいなキモ男を哀れんで言うに決まってるでしょ!」


自己中過ぎて呆れてしまうが、事実彼女の中ではそれが真実なのだろ。思い込みというのは視野を狭くする。多様な人間がいることは決して悪くはないが、こういう半端な人間を作りやすくはなってしまう。こういう人間が後先考えずに子供作ってその子の未来を蝕むんだよなぁ・・・害悪とは思っても嫌悪感までは持たないよう我慢する。


まだなにもしていないのだ。まあ、いつそうなってもおかしくはないけど。個人的には子供に虐待して喜ぶ親とか、邪魔になった子供を殺す親の元になりそうなのであまり関わりたくないのだが、ここで雅人を一人にするのが一番まずいだろう。


「雅人、頼むから今度は普通に誘ってね」

「ああ、とはいえ、お前は普通に誘っても来ないだろ?」

「こんなサプライズはごめんだよ」

「ちょっと!きいてんの!」


そうしてギャーギャー騒ぐ女を連れて三人でカラオケに入る。長い戦いになりそうだなぁ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ