138 夕飯の出来事
書いてみたかっただけです、後悔はありません(^_^;)
「でね、おにいちゃんにかたぐるましてもらったの」
「そうか。よかったな」
夕飯を食べながら今日の報告を先生にする千鶴ちゃん。嬉しそうに話す姿には癒されながら自分の作った唐揚げを食べて少しだけ唸ってしまう。やっぱりもう少し上手く作りたいものだ。決して不味くはないけど、やっぱり何か違うんだよなぁ。もっとジューシーにするにはどうしたらいいか。
「おにいちゃん、あーん」
そんなことを考えている時だった。視線を向ければ隣に座る千鶴ちゃんがこちらに器用に箸で掴んだ唐揚げを向けてきていたのだ。いきなりのことに驚きつつ俺は聞いた。
「俺にくれるの?」
「うん!」
「ちなみにそれは誰から習ったの?」
「えっとね、るみおばちゃんが、こうすればおにいちゃんがよろこぶっておしえてくれたの。おにいちゃんすこしだけむずかしいかおしてたから」
どうやら気を使わせてしまったようだ。というか、瑠美さんはまた千鶴ちゃんに何を教えているのか。ため息をつきそうになりつつ今にも落ちそうな唐揚げを貰って食べることにする。そして、咀嚼しながら向かいの席で先生から少しだけ嫉妬混じりの視線を向けられたことに気付きながら言った。
「ありがとう、千鶴ちゃん。でもこれは人前ではしちゃダメだよ」
「なんで?」
「あんまりお行儀良くないからね。あと、こういうのは好きになった人にすることだから」
きょとんとするのでまだ伝わってはいないのだろう。まあ、いい。そういうことを教えるのも親の務めだ。そう思いながら次の台詞を言う前に俺は思わず向かいから差し出された唐揚げに思わず聞いてきた。
「遥香さん。それはなんです?」
「見てわかるだろ?食べさせるんだよ」
「いえ、そうでは・・・なんでもないです」
言うだけ無駄なので俺は黙って唐揚げを食すことにする。そうして食してから俺はまた千鶴ちゃんが唐揚げをこちらに向けていることに気付いて悟ってしまう。どうやらとんでもない地雷を踏んだようだ。これはあれかな?永遠にループして食べさせれられるパターンなのかな?
だとしたらかなりキツイが・・・
「おにいちゃん、あーん」
「ほら、健斗。あーん」
この親子から逃げることは出来ないので覚悟を決めて食べることにする。しかし、俺はどうも食べさせてもらうのは性にあわないみたいだ。どうせなら食べさせてあげたいなと思ってから、俺はふと、思い付いたので晩酌の時に先生にはお返しをしようと決意するのだった。
まあ、千鶴ちゃんは今度の休みにでも出掛けた時に何か食べさせようかな。
 




