14 のろけですか?
箸休め
「リア充爆発しろ」
「雅人にだけは言われたくない台詞なんだよなぁ」
昼食を食べつつ俺と雅人はそんな会話をする。当たり前のように俺の弁当箱からおかずを奪っていく親友に先生との件で内密な相談をした結果が今の台詞だ。彼女持ちにそんなことを言われるのは少しというか、かなり納得いかないが、そんな俺の抗議を受けても親友は特に気にした様子もなく言った。
「もうさ、お前らなんでたった数日でそんなにイチャコラしてるの?あり得ないでしょ」
「イチャコラって・・・お前だっていきなり告られてイチャコラするんだろ?何が違うんだよ?」
「何がって・・・密度?」
何のだよと思いつつ俺は肝心の相談をすることにした。
「それで、聞きたいんだけど・・・雅人ならどうやって小さな女の子と仲良くなる?」
「それを俺に聞くのか?言っとくが俺はロリコンの素質は皆無だぞ?」
「雅人の好みはしらんけど、俺は単純に妹のいるお前ならどうするか聞きたかったんだよ」
このイケメンにはえらい美少女の妹がいる。俺は家族に男?(一人はオネェ)しかいないので女の家族で年下がいる親友に千鶴ちゃんと仲良くなるために相談したのだ。
「んー・・・でもお前も薫と仲良いだろ?」
「それは薫ちゃんがフレンドリーだし年も近いからね」
「だとしても俺に相談されてもなぁ・・・黒羽の子供はえらいコミュ障なんだっけ?」
「そう言うと先生に怒られるけどね」
本当はコミュ障という言葉には当てはまらない気がするがそこまで話す気にはならなかった。雅人を信じてないわけではないけど、こればかりは俺が自分で答えを探す必要があるだろうと思ったのだ。
きっと千鶴ちゃんは心に何かしらのトラウマを抱えているのだろう。推察でしかないが、千鶴ちゃんが俺に対しておこした行動などと、目を見てそんな気がしたのだ。先生に直接聞くのが一番手っ取り早いだろうが、きっとこれが仮に当たっていても先生が話してくれることはないだろうと思う。だからとりあえず俺は千鶴ちゃんと時間をなるべく共にして彼女の暗い部分を理解する必要があるだろう。
まあ、色々言ってはみたが、俺は結局現状何もできないことに対して少なからず自身に憤りを感じているから気分転換に親友にこんな話をしているのだろう。
雅人もそんな俺の気持ちを察しているのかあまり深くは聞いてこない。こういうところがイケメンの所以なのだろう・・・
「なら一緒に風呂にでも入れば?」
「怖いこと言うなよ。そんなことしたら先生の鉄拳だけじゃすまない事態になるだろうが」
・・・少し無神経なところはあるが根はいい奴だから。うん。
ちなみに雅人のプランをやれば社会的にも先生と千鶴ちゃんの中の好感度も一気に死にかねないので実行する気にはなれなかった。
そういうのは千鶴ちゃんに正式に認められてからじゃないとなぁ・・・