133 夏休みの予定
ご予定は
「そういえば期末テスト近いが大丈夫か?」
三人で夕飯を食べてから洗い物をしているとそんなことを聞いてくる先生。修学旅行からそこまで日にちを空けずにすぐに期末テストはやってくる。
「まあ、なんとかなると思います」
「お前のことだから大丈夫だろうが赤点はダメだぞ」
「ええ、もちろんです」
先生のところに通ってから成績が落ちたなんて思われたくないので、きちんと勉強はしている。それにこうして学生のうちに勉強しておけば、大人になってから子供に教えてあげられるかもしれない。もちろん世代によって異なる点はあるだろうけど、それでも子供に教えられるような格好いい大人になりたいものだ。
まあ、先生が教師だからその夢は少しだけ遠いような気がするけどね。
「テストが終われば夏休みだが・・・引っ越しの準備も早めにしないとな」
「ええ、わかっています。荷物はそこまで多くないので大丈夫かと」
そして、この夏休み受験生が忙しい時期に俺は引っ越しの作業におわれそうだ。そこまで荷物は多くないとはいえ、必要な物と不要な物を分ける必要はあるしね。それにいくつか俺の荷物以外を祖父の家に送ったりと色々と必要なことは多いのだ。
「それならいいが手伝うことがあれば言ってくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
「当たり前だろ。それにしてもこんなに早くお前と同居することになるとはな」
「ご迷惑をおかけします」
「迷惑どころか大助かりだ。それにお前の負担が減るならいいさ」
負担なんてないが、確かに心配かけていたみたいだしね。それが少しでも軽減されるなら願ったりだろうとは思う。とはいえ、いきなり引っ越しというのはいざとなるとかなり困るものだ。もちろん嬉しいには嬉しいが、先生や千鶴ちゃんに迷惑にならないかだけは不安である。
そんな俺の気持ちを察したように先生は言った。
「言っとくが、お前が来ることで迷惑なんか一切ないからな。お前のことだからそこを気にしてそうだが」
「ええ、流石ですね」
「これくらいのことならわかるさ」
「ええ、その言葉が本当なのもわかります」
まさかこの短期間でここまで心を通わせることが出来るとは思わなかった。千鶴ちゃんとも凄く仲良くなれているし一緒に住めばもちろんデメリットも出てはくるだろうけど、それを乗り越えられればきっと今より深く繋がれると直感している。
まあ、まずは目の前の期末テストからだろうと早々に洗い物を終えてから俺は支度を整えるのだった。




