123 ただいま
修学旅行編終了です。6月最後でギリギリ終わった(^^)
思えば修学旅行中は、ずっと千鶴ちゃんの心配と先生との時間のことばかり考えていた。だからこそ思うのはやっぱり俺は自分のためだけには時間を使えないようだ。これも長年の癖なのかもしれない。誰かに尽くしている時間が一番幸せなんて少しだけおかしいかもしれないが仕方ない。
学校に着いてから全体で話を終えて先生の解散の声で家路につく。すでに時刻は8時過ぎと遅いが、先生はまだ少しだけ仕事があるそうなので俺は先に先生の家に向かう。荷物は多いが、急げと体が言うので従う。
実家より先に先生の家に向かうのもどうかと思うけど今からなら間に合うはずなので急ぐ。旅行の疲れを若干感じつつ数日ぶりの家路を進むと懐かしい感覚になりながら俺は先生の家の前に着くのだった。
「まだ起きてるかな・・・」
俺は制服のポケットから先生の家の鍵を取り出すとゆっくりと解錠する。すると中からこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。俺はそれを聞きながらゆっくりと玄関の扉を開けてから・・・その久しぶりの笑顔にほっとする。
「おかえりなさい。おにいちゃん!」
「うん。ただいま千鶴ちゃん」
ゆっくりと荷物を置くと俺に抱きついてくる千鶴ちゃん。俺はゆっくりと優しく千鶴ちゃんを抱き上げるとよしよしと抱っこする。
「ご飯はもう食べたの?」
「うん!おばちゃんといっしょにたべた」
「お風呂と歯磨きもちゃんとした?」
「うん。したよ。ちーえらい?」
「うん、千鶴ちゃんは偉いよ」
「えへへ・・・」
嬉しそうに微笑む千鶴ちゃん。パジャマ姿なので今から寝るのだろう。間に合って良かったと思っていると瑠美さんが奥から出て来てから笑って言った。
「おかえり健斗くん。まさか真っ直ぐここに来るとはね」
「ただいま帰りました。千鶴ちゃんの面倒見てくれてありがとうございました瑠美さん」
「いいよー。楽しかったしね。それにしてもちーちゃんは本当に健斗くんのこと好きだねー。今も玄関から音が聞こえてから凄い勢いで玄関に向かったからね」
その千鶴ちゃんは俺に抱っこされて嬉しそうにしているので瑠美さんは微笑ましそうに言った。
「ラブラブだねー。姉さんが嫉妬するかもよ?」
「久しぶりですからね。仕方ないです。それに遥香さんも早く帰りたがってたので大丈夫です」
仕事がなければもっと早くに帰りたかったであろうが、仕方ない。だから代わりに俺が千鶴ちゃんの面倒を見るのだ。明日のこともあるし早くに寝かしつけたいが、その前に一度シャワーだけは浴びておきたいものだ。眠くなりそうだけど添い寝をするならある程度汗は流しておきたいのだ。そんな感じで俺の日常が戻ってくるのだった。




