表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/813

119 約束と確認

ちゃっかり約束


「お疲れ様です遥香さん」


夜、人目を避けて先生の部屋に着いてからくつろぐ先生にそう言うと微笑んで言った。


「ああ。まったくヤンチャな生徒が多くて大変だが、シーの方ではもっと大変だったらしいからな。吉崎はまた反省文だ。あいつ本当に卒業できるんだか」

「ご迷惑をおかけします」


やっぱり友人は選ぶべきだったと心底思う。


「ま、それはいいんだが・・・明日には修学旅行も終わりだな。楽しめたのか?」

「ええ。もちろん」

「そのわりには旅行中も私やちーちゃんのことばかり気にしていたろ?」

「家族ですから」


当然のことにそう言うと先生はくすりと笑って言った。


「家族か・・・そうだな。私が電話した時もちーちゃんはお前のことを嬉しそうに報告してくれたよ」

「タイミング的にそうなったんでしょうね」

「ま、そうだろうがな」


そう笑う先生に俺は思い出したように言った。


「遥香さん。明後日の土曜日少しだけ時間貰えますか?」

「構わないが、午前中は仕事だぞ?」

「はい。午後に合流しましょう。俺は修学旅行分の家事の前に千鶴ちゃんと遊びたいので」

「何の用事かわからないが、わかったよ」

「お願いします。あとお聞きしたいんですが・・・ご両親にはいつご挨拶に行けばいいですか?」


その言葉に先生は一瞬動きを止めてから少しだけ気まずそうに聞いてきた。


「・・・挨拶に行きたいのか?」

「はい。何かダメですか?」

「いや、ダメではないが・・・結構個性的だから健斗がひかないか少しだけ心配でな」

「心配しなくてもどんな家族でもちゃんと受け入れますから」


少なくともうちの父親を越える存在には出会わないだろうと思ったからだ。


「そうか・・・なら、その件もまた相談だな」

「はい。あ、そうそう。それとこの際聞きたいんですが、いつ書きますか?」

「何をだ?」

「婚姻届・・・いや、再婚だから入籍届ですかね」


確か再婚や離婚して名字が変わる必要がある時には入籍届になると聞いたことがある。色々難しいが、先生と千鶴ちゃんが俺と正式に家族になるには必要なことだからだ。


「それはもう用意してある。私の欄だけは埋めてあるから後はお前とお前の父親の記入があれば卒業してからすぐに出せるだろう」

「用意いいですね」

「言ったろ?私も本気だって。重いか?」

「いえ、嬉しいです」


まあ、実際には卒業式のある3月までは出せないが4月になって年度が変われば俺は晴れて先生と結婚しても問題なくなる。それまでに出来ることをして過ごそうと思うのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ