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113 無防備な彼女

健斗さんの心配


人目を気にして気付かれないように指定の部屋へと向かう。時刻は23時を過ぎたばかり。とはいえ学生はまだまだ元気なので起きてる生徒が多い中、俺は先生の部屋へと向かっていた。


誰も見てないのを確認してからノックをするとやや遅れてから鍵があき、急いで部屋に入ってから・・・俺は思わずフリーズしていた。


「どうかしたか?」

「遥香さん・・・お願いですから服を着てください」


明らかにシャワーを浴びていた様子の遥香さん。でもこれは相手が俺だから良かったけど別の人なら本気でヤバイと思い注意しようとすると遥香さんはそれを読んでるように言った。


「大丈夫だ。ノックの音から健斗なのはわかってるから」

「それでもです。男は危ないんですから注意してください。特に遥香さんは美人なんですから」

「ああ。努力しよう」


そう言いつつ嬉しそうな表情の遥香さん。しばらく待ってからシャワーを浴びて着替えた遥香さんは冷蔵庫からビールと俺用にジュースを持ってきてくれたので遠慮なく飲むと遥香さんは微笑んで言った。


「今日は楽しかったよ。ありがとう」

「俺こそです。時間くれてありがとうございました」

「本当は明日こそ付き合ってやりたいが・・・」

「やっぱり難しいですよね。なにせ東京ディ◯ニーランドですから」


明日は1日ディズ◯ーランドorディ◯ニーシーのどちらかで遊ぶことになっている。わりと皆ディズ◯ーシーをカップルで回るようだが、今日みたいに完全に二人きりは無理だろう。その事実に少しだけしょんぼりすると先生は笑って言った。


「ちーちゃんへのお土産くらいなら問題ないだろう」

「じゃあ、その時は知らせて下さい。どのみち俺も下見で写真を撮りたいので」

「ああ。わかったよ」


まあ、本音を言えば先生と一緒にせっかくの遊園地を楽しみたいけど、ワガママを言うわけにはいかない。仕事で忙しいのにそんなリスクを背負わせるわけにはいかないので、その思いを仕舞うと先生は何かを察したようにくすりと笑って言った。


「お前は本当に自分の気持ちを隠すのが下手だな」

「器用ではないので」

「だろうな。でもお前のそういうところは直していきたいな。私の前くらいではもっと本音を話して欲しい」

「心配しなくても俺は遥香さんの前では誰よりも正直ですよ」


今まで誰にも話していなかった母さんのことなどを話せたのはこの人くらいだろう。だから俺は先生の前では隠し事はできないようだ。それがいいことなのか悪いことなのかはわらかないが、きっとその答えはいずれ分かるのだろう。






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