105 見回りの間に
一度部屋に戻ると
混浴をしてから、一応の形式的な見回りの仕事があるということなので、俺は一度部屋に戻ると丁度出ていこうとする吉崎とかち合った。
「あれ?健斗どこに行ってたんだ?」
「ちょっと電話をね」
「えらい長かったけど本当か?」
「そういう吉崎は消灯時間にどこに行くつもりなの?」
「決まってるだろ?女子部屋に遊びに行くんだよ」
そんなことを堂々と言われたので思わず後ろで寝る準備をしていた雅人に視線を向けると雅人は眠そうに言った。
「どうせ彼女にでも会いに行くんだろ?」
「イエス!夜這いしてくる!」
「頼むから先生達の手を煩わせないようにね」
「おうよ!」
そう言ってから部屋を飛び出す吉崎にため息をついてから部屋に入ると、スマホをいじりながら斉藤が聞いてきた。
「けんちゃんはティーチャーのところにでも行ってたのでござるか?」
「電話は本当だけど、そのついでにね」
「なるほど、だからそんなに血行の良さそうな顔をしてるのでござるな」
「もしかして風呂上がりってバレてる?」
その言葉に斉藤は頷いてから苦笑して言った。
「吉崎は己のリビドーに夢中で気がつかなかったようでござるがな」
「なんだ、混浴でもしてきたのか?」
「雅人は本当になんでそこまで見透かせるのか不思議になるよ」
「大方お前が電話に行ってから、クラスメイトの女子と話す現場でも見られてその流れでってところか」
「雅人はけんちゃんマスターでござるな」
嬉しくない称号に手を振りながら雅人は布団に入る。
「ま、何時までお楽しみかは知らないが休める時に休んでおけよな」
「雅人は相変わらず睡眠時間長いよね」
天才というのはスペックが高い分人より休息を必要とするのか、雅人は昔から最低10時間は寝ないとダメな体質らしい。彼女との夜は楽しんだ分どこかで睡眠を取らないとダメらしい。そんないらない情報を思いだしながら先生のために昼間買っておいたものを取り出して準備をすると斉藤が聞いてきた。
「けんちゃんも夜這いでごさるか」
「皆には内緒でね」
「当たり前でござる。吉崎ならともかくけんちゃんを売るようなことはしないでござる」
「ありがとうだけど、吉崎が少し可哀想だな」
「まあ、吉崎でごさるから。でも、けんちゃんもいないとUNOは出来ないでござるな」
そう言いながら寝ようとしている雅人も誘う斉藤に断りを入れてから俺は先生の部屋を目指す。友人との時間も大切だけど、俺は先生との時間を楽しみたいのだ。見つからないように部屋に向かう途中で他の先生に見つかり注意を受ける吉崎を見なかったことにして行くのだった。うん。あれはスルー1択ですよ。




