11 早起きの得
先生は癒し系(^^)
「おはよーございまーす」
翌朝、早速貰った合鍵を使って先生の家に入る。時刻はまだ6時前なので二人は部屋でぐっすり眠っているようだ。紳士としてもちろん女性の寝室に無断で入るつもりはないので、俺はさっさと手を洗ってから準備に取りかかる。
まあ、とはいえ二人の朝食と俺と先生の弁当を作るだけなのでさして時間もかからない。昨日の夜、少し多めに作った肉じゃがと焼き鮭、タコさん型のウインナーに卵焼きと少し肉が多めになってしまったが・・・まあ、明日から少しずつ野菜を増やせばいいかと思って納得する。
「うぅん・・・あさ・・・」
そうして準備していると意外にも、いや、当然と言うべきだろうか?真っ先に起きてきたのは千鶴ちゃんだった。可愛らしい子供用のパジャマを着た千鶴ちゃんはぽわぽわしながら歩いてきてーーーそのまま俺の足元に抱きついてきた。
「・・・・え?」
あまりのイレギュラーに俺はフリーズするが寝ぼけているのか千鶴ちゃんは俺の足に抱きつきながら呟く。
「いやぁ・・・いやだぁよぅ・・・ちーのまえからいなくならないで・・・」
その言葉に俺は先程までの驚きから少し悲しい気持ちになってしまう。千鶴ちゃんが何を恐れているのか、どうしてそんなことを言うのかわからなかったが・・・それでもこの子が悲しい思いをしているのがなんとなく我慢ならなくて、俺は抱きついてくる千鶴ちゃんの頭を撫でながら言った。
「大丈夫だよ。俺は千鶴ちゃんの前からいなくならないから。だから・・・安心して」
「うん・・・」
その言葉に安心したのか千鶴ちゃんはまたすやすやと寝てしまったので、俺は時間もまだあるので千鶴ちゃんを部屋へと連れていくことにした。
千鶴ちゃんを抱っこして持ち上げるとこの年頃特有の重量に思わず微笑んでしまうが、客観的に見て今の俺は子供を抱っこしてニヤニヤしている気持ち悪い人にしか見えないことに気づいて移動した。
千鶴ちゃんが寝ている部屋は先生と同じ部屋なので必然的に俺は先生の部屋に入ることになってしまったのだが・・・まあ、流石に先生も大目にみてくれるだろうと思いそのまま入る。
年上女性の寝ている姿というものに少しだけ思春期らしくトキメキを期待して入るが・・・そこはもちろん先生だからそんな都合のいい展開にはならなかった。
「ぐー・・・すー・・・」
ネグリジェというのだろうか?セクシーな肌着を着た先生が無邪気な顔で寝ていた。なんというか無邪気という表現が一番似合うくらいにある意味可愛らしい寝顔。物凄く寝相が悪いのか枕と頭の距離が先生の身長分くらいある・・・というか、先生が枕を足元にして寝ているのだ。
「なんというか・・・本当に可愛い人だなぁ・・・」
普通なら少しおかしな感性なのかもしれないが俺は先生のこういうところにかなり心にくるものがあるのだ。いや、こういう素の部分が父性本能くすぐられる人は大好きなのだ。
二次元みたいなお綺麗で完璧な年上美人はもちろん好きだが、先生のこういう豪快なところの方が俺的にはポイントが高い。
そんな風にしばらく先生の寝顔を眺めてから千鶴ちゃんを先生から少しだけ遠くに離して寝させてから俺は再び準備に戻るのだった。