102 嫉妬と呼び出し
プチ嫉妬
「ふぅ・・・」
瑠美さんと千鶴ちゃんに電話をしてから一息つく。心配だったけどちゃんとご飯を食べていたのは安心した。
「あ、巽くん。さっきはありがとう」
そんな風に安心していると後ろから突然声を掛けられて驚く。相手はクラスメイトの水瀬という女子生徒。驚きつつも聞かれてないことを祈って聞いた。
「何かしたっけ?」
「吉崎達の件だよ。お風呂覗こうとしてたのを止めてくれたんでしょ?」
思いもよらないことに驚きつつも答える。
「礼なら雅人に言ってよ。俺は女子の知り合い少ないから先生に言っただけだしね」
「それでも十分だよ。吉崎イケメンなのに幻滅しちゃったよ」
「まあ、あれは性欲の塊だからね」
「確かに」
そうくすりと笑うと不意に水瀬の後方に先生の姿が見えてどきりとする。先生は俺と水瀬を捉えるとニヤリと笑って近づいてきて言った。
「お楽しみのところ悪いが・・・巽、話がある」
「何かしたの?」
「えっと・・・かもしれない」
俺が他の女子と話しているところを見られたのは確かにやらかしたかもしれない。というか、疚しい気持ちがなくてもこれは先生からしたら面白くないだろう。水瀬と別れてから俺は先生に着いていき教員用の部屋に移動した。
先生方はそれぞれ個室なのでここでなら何を話しても大丈夫だと思いながら先生の言葉を待つと先生は聞いてきた。
「水瀬と仲良いのか?」
「さっきの吉崎達の暴走のお礼を言われただけです。元々千鶴ちゃんと電話したくてあそこに行ったので偶然会っただけです」
「わかっているさ。しかしそれでも私としては面白くないのはわかるよな?」
こくりと頷いてから俺はポツリと言った。
「実は俺も遥香さんと話したかったんです。吉崎達の覗きの件も吉崎が遥香さんの入浴も狙っていたので止めただけです」
「嫉妬してくれたのか?」
「ええもちろん。遥香さんの肌を見ていい男は俺だけですから」
その言葉に先生は少なからず嬉しそうな表情をしたので安心していると、少しだけ考えてから先生は言った。
「とはいえ、私をやきもきさせた罰は必要だな」
「ええ。なんでもしますよ」
「なら私に付き合え」
「晩酌ですか?」
「それもいいな。しかし折角の旅館だからな」
チラリと外に視線を向けるとそこには個室用の露天風呂が。なんで教員だけここまで豪華なのかと思っていると先生は笑って言った。
「せっかくだ。こうして旅館に泊まれたのも何かの縁だろう。あいにくと大きな風呂ではないが一緒に混浴でもしようか」




