98 修学旅行初日
移動中
「しっかし、初日のクラス行動は本当にダルいよな」
新幹線の中で、斜め左に座る吉崎がスマホをいじりながらそんなことを言う。並び順は窓際に座る俺の隣が雅人で、目の前が斉藤の順番。
「まあ、一応修学旅行なんだし仕方ないでしょ」
「けどよー、せめて他のクラスの連中ともかち合いたいぜ」
「どうでもいいけど、さっきからスマホずっと弄ってるけど何してるの?」
「わかったでござる。ソシャゲでござるな」
「違うわ。彼女とのLINEだよ」
わざわざ履歴を見せてくれる吉崎。その一部を見てげんなりする。何故なら・・・
彼女:あのね
なんだい? :吉崎
彼女:今ねよっしのこと考えてたの
彼女:ご、ごめんね。気持ち悪いよね(^_^;)
彼女:忘れてね
いや俺もだよ :吉崎
俺もお前のこと考えてた :吉崎
彼女:よっしー・・・大好き
ああ、俺も大好きだ :吉崎
以下略
みたいな感じで同じくだりが延々と続いていた。
「これ、飽きないの?というか、同じような内容のことしか話してないよね」
「はぁ?普通こんなもんだろ。なぁ?」
「ん?俺ならもっと上手く誘導するかな」
「拙者は彼女からガンガンオタク話を振ってくるのでござる」
「全然賛同は得られてないね」
斉藤はちょっと特殊なような気はするけど、イケメンはやっぱり話が上手いのだろう。
「ま、健斗も彼女出来ればわかるさ」
「そういうものかな?」
彼女というか、嫁候補を見つけてもこういうLINEのやり取りはしたことないな。帰りの時間を聞いたり、夕飯のリクエスト聞いたりとかがメインであんまり恋人みたいなLINEはしたことない。というか、LINEするより会って話す時間が多いからあまりスマホを活用出来てない気がする。まあ、千鶴ちゃんの前でスマホをいじると、興味津々で触ろうとするのであまり取り出さないのだが。
「彼女ねぇ・・・まあ、健斗は直に会うのが好きそうだけどな」
「雅人は違うの?」
「LINEの方が表情見えない分楽」
「楽かどうかで決めてるんだね」
ちょっと彼女が可哀想になる。まあ雅人なりに気を使ってのことなのだろうが。にしても、そうか普通の恋人たちは会えない時間をスマホとかで連絡を取ってるんだ。そうなるとこれから夏休み後半には一つ屋根の下に暮らすとさらにスマホが遠くなりそうだ。緊急時のたまに必要ではあるだろうけど、そういう用途では使わないだろう。
そんな風に駄弁りながら新幹線の旅を楽しむ。途中で先生の姿を見て話しかけたい衝動にかられるがなんとか我慢するのだった。




