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ヒューマンドラマ作品集

新緑の王子さま

作者: 香月よう子
掲載日:2018/04/20

 外の窓際の席、前から4番目。

 それが済陵高校1年7組48名、出席番号第4番の私の席。


 進学校である我が校で、授業中の私語・よそ見は厳禁だ。

 しかし、私はそっとわからないように、窓の外の風景を眺めている。


 桜の大木。


 それはもうとっくに花びらを散らし、青々とした新緑を誇っている。

 毛虫の害虫にも負けずに、堂々とその枝葉を伸ばしている。


(お前、元気だねぇ…)


 そんな呟きが漏れる。

 学校に馴染めず、新しいクラスメートとも未だよそよそしい私には、その生命力は、羨ましいくらいだ。


「井上! どこを見てる?!」


 その時、先生から名指しで叱られた。

 クスクスと笑いが起こる。


「教科書の続きを読め」


 しかし、よそ見をしていた私には、どこから読めばいいのかわからない。


「13ページの2行目からだよ」


 その時、右隣の席の酒井君がそっと耳打ちしてくれた。


「あ、ありがとう…」


 小さな声で御礼を言い、私は教科書の朗読を始める。


 酒井君…クラス一のイケメンで、皆からの信望も厚い。

 そんな彼が、私の窮地を助けてくれた。

 ただそのことだけで、私の心は軽くなる。

 窓の外では、桜の新緑が風に吹かれ、その木の葉を気持ち良さそうに揺らしている。

 ただ、それだけのこと。


 しかし、私の心はなんとも言えない温かさを感じ、これからは皆ともうまくやっていこう。


 そんな密かな決意が芽生えた瞬間だった。





本作は、なななん様が活動報告内で企画されたお題小説です。

テーマは、「学校」「新緑」です。


又、本作は、銘尾友朗さま主催「笑顔でいこう企画」参加作品です。


お話を書くきっかけを下さったなななん様、素敵な企画に参加させて下さった銘尾友朗さま、そしてお読み頂いた方、どうもありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 銘尾友朗様の「笑顔でいこう企画」で拝読しました。 どこにでもあるような新学期のヒトコメ。 でも、何か新しいことが始まるような予感も。 読んでいてほっこりしました。
[良い点] 笑顔でいこう企画を回っております。 口元が少し緩むような、ほっこりする作品でした(*´ω`*) [一言] [以下、本音です] 新緑の風が爽やかで心地よくて、主人公の心が少し解けて、盛り上が…
[良い点] 新年度の新学期って、緊張するんですよねぇ。 ヒロインの心情がストレートに胸に響いて来ました。 私も苦手だったなぁ、新学期。 そんなこともすっかり忘れていました。 香月さまのお話で、気分(…
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