序章〜異世界からこんばんは〜
<序章 異世界からこんばんは>
空から落ちた白が、
道をひしめく色、色、色に
落下する。
生まれてその命が尽きるのは数秒だ。
もっと寒いところに生まれていたら、
もっとみんなの目を楽しませられたのに。
長い命を得られただろうに。
「例えば、俺の地元みたいにさ。」
高層ビルの最上階から広がる都市を見下ろしながら
誰に聞こえるでもなく呟いた。
ライターで火をつけ、吸い、吐いた。
白い息がまるで生きているように身をよじる。
まるで寒さに震えているようだ。
都会は別に嫌いじゃない、
今は冬だし寒さはこちとらおてのもんだ。
仕事だって少しずつ慣れて友達や知り合いも
増えてきた。
タバコの味だって、美味いと
思えるようになった。
でも疎外感は消えない。
違和感は拭えない。
なぜなら、この世界で俺はいわゆる異物だから。
俺は今異世界にいるのだ。
みなさんは、異世界はご存知だろうか。
最近いろんな漫画やメディアで異世界に転生しただの
飛ばされただのやってるので
言葉の意味は知っている方は多いかもしれない。
でも、人間の創造の産物だと思っている方は
多いだろう。
いやいや違うんだなこれが。
異世界はあるんだわ。
俺が一番最初に異世界にいったのは
小学5年生のことだった。
そして、それが全てのはじまりだった。