乗務 ワンマン 烏山行
大幅に遅れてしまい申し訳ございません
ちなみに今回のテーマは『一難去ってまた一難』です←フラグの予感しかしない
15時01分・・・宇都宮駅の8番線ホームはまだ帰宅時間帯とまではいかないものの混雑し始めていた。
15:12分発、列車番号335M、烏山線直通、ワンマン列車の烏山行の乗務のため、懐中時計を見ながら
「・・・あと12分あるのか~」
とつぶやきながら、ジャケットのポケットからシュシュを取り出して、バレッタで留めていたロングヘアーをほどいてシュシュを使ったポニーテールに髪型を変えた。運転するときはポニーテールにするのが彼女のこだわりらしい。ちなみに元手芸部なのでシュシュは自分で作るらしい。同僚にも作ってあげるのだとか。
15:05分、放送が入る。まもなく本宮の乗務する列車が烏山から到着するとのことだ。すると列車のヘッドライトが8番線を照らした。
列車はEV-E301、通称ACCUMによっての運用である。
ゆっくりとした速度で入っていて『キ~ッ』という音を立てて止まった。
中から運転手の方が出てきて
「お疲れ様です、異常なしです」
と言った。
本宮も
「お疲れ様で~す、異常なし了解で~す」
と言って運転室へ入った。
ワンマン列車というのは車掌の仕事も運転手がやるので少しばかり大変である。
ます乗り込んだら車掌が普通はドアを開けてくれるのだがこれも運転手がやる。まあそのために運転台にドアスイッチがあるのだが。
まず、お客様を乗せる前に車内の蛍光灯を点けて車内放送の設定、ワンマン列車なので運賃表と一部の駅で使用される整理券発行機の設定をする。
『えっと、宇都宮~烏山だから・・・ワンマンパターン107っと』
本宮はふと、そうつぶやきながらワンマン設定機に時刻表に書かれたワンマンパターンという3桁の数字をワンマン設定機という運賃表と整理券発行機の設定を自動でやってくれる装置にセットする。そうしたら運転台にあるタッチパネルにもワンマンパターンの数字を打ち込む。
『パターン107、宇都宮、烏山、ワンマン』
車内放送の設定が終わった後に最初に流れる確認放送が流れるとドアを開けてホームで待っているお客様を乗せるそしたら発車を待つのみである。
15時10分、そろそろ発車時刻なので本宮はマイクを取って放送を入れる。
「15時12分発、烏山線直通、烏山行のワンマンカーです。岡本、宝積寺、宝積寺から烏山線に入りまして、下野花岡、仁井田、鴻野山、大金、小塙、滝、終点の烏山の順に停車いたします。間もなくの発車となります。ご乗車になりましてお待ちください」
綺麗な声の放送が車内に響くと・・・時を同じくして信号が開通した
15時11分30秒、本宮は車両に取り付けてある乗降促進メロデイーを鳴らすと運転台横にある窓から顔を出してドアを閉めた。
「戸閉点灯、本線出発、進行! 宇都宮、定発」
運転室に響くぐらい大きな声で歓呼をすると
15時12分、宇都宮、定発
本宮はノッチを徐々に入れていき駅構内の制限45でノッチを切って制限区間を過ぎたら速度を上げていく。
・・・それにしても、いつものように運転していけるのはいいものである。何しろ今日は地震の影響で臨時ダイヤで運転しているのにこの烏山線の列車だけは普通のダイヤで運転している。本宮はいつも通りのダイヤで走ることができるので内心嬉しかったりする。運転手で一番大変なことは慣れないダイヤで走ることらしい。2015年の上野東京ライン開業時のダイヤ改正の時も白紙改正だったのでほとんど慣れていないダイヤで走ることのオンパレードだったので9月ぐらいまでは乗務の時は緊張の連続だったらしい。今じゃそんなことはないが。
列車は東北新幹線の高架と別れ快調に進んでいる岡本まであと3キロほどだろう、その時だった。
運転室に防護無線が鳴り響いた。本宮は慌ててマスコンを『非常』にいれた。
今度は何が起こったのやら・・・、列車を止め乗客への案内放送を済ますとふとそんなことを考えていた。