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関東平野の運転手  作者: ラビット
7/12

乗務準備 ~ワンマン 烏山行~

今回は乗務準備ですね。

ちなみに2割は本当に見たことがあるシーンを基に作成しています

宇都宮運転所に戻ると所内は騒然としていた。ひっきりなしに壁に取り付けてあるモニターが更新されていく。内容は・・・宇都宮線の運用変更についての内容がほとんどだった。そして鳴りやまない無線。指令からのものだろうが、ほとんど運行地点の報告と運用変更の内容だった。本宮はそんなのに気を取られつつも点呼場に向かう。そして指示を受ける。

「えっと、平平B31行路の本宮です。タブレットにここに戻って指示を受けろと出たので戻ってきたのですが、ここからどうするんですか?」

本宮が聞くと点呼担当の智頭ちづ

「あ~31行路ね、ちょっと待ってて」

と言ってパソコンに行路ナンバーを打ち込む。

「えっと、これから休憩して15時12分発の335M烏山行に乗って烏山線往復したら宝積寺から便乗で戻ってきて今日は帰宅していいみたいだね、それじゃこれスタフだから、休憩したら宇都宮駅行ってホームで待ってて」

智頭はスタフを差し出すと本宮はそれを受け取り

「それじゃあ、いってきま~す」

と言って点呼場を後にした。


休憩室で懐中時計を見ると時刻は13時42分だった。本宮は時刻表スタフを見ながらカバンから弁当を取りだす。遅めの昼食だ。本当は上野で食べる予定だったがダイヤ乱れでここで食べることになった。ちなみに手作りの麦飯とサバの塩焼きにサラダの弁当である。一応本宮は栄養士の資格も持っているのでその辺気にしているのだろうが。


食事を済ませると時計は14時41分を指していた。本宮は荷物を片付け背中まであるロングへアーをバレッタでまとめて運転所を出る。そして改札内コンコースでコーヒーをNewDaysで買おうとジャケットのポケットから財布を出した途端、後ろからすっと音がした。本宮はすぐに後ろを向くと、

「へ~、美咲ってこれから烏山線乗務するんだ~」

と言いながら、一人の背が高い男が立ってた。

「えっ、なんで西田井さんがここに!?、今日って休みのはずですよね?」

後ろには本宮のスタフを見ている2つ上の先輩の西田井がいた。

西田井は

「今日は休みだと思ってベルモール行ってたら電話がいきなりなってダイヤが滅茶苦茶だから応援で来てって言われて急きょ運用入れさせられたんだから。これから上野東京ライン1往復してこなきゃいけなくなってさ~、俺も今ここで夕飯買いに来たところ」

と疲れたような声で言った。

本宮はあきれたような顔をして、店員からコーヒーを受け取ると、今度は西田井が店員に

「鮭と梅干とタラコをひとつづつ」

と言って店員からおにぎりを買っていた。本宮は

「これじゃあ炭水化物だけで栄養が偏りますよ~。すみません店員さん、この人にミックスサラダをつけてください。支払いは私が」

と告げた。

「っておい本宮!?、なんで俺にそんな食べないんだけど・・・」

西田井が慌てて本宮に言う

「あれれ~、この前休憩室でデカ盛りカップ麺と野菜サラダにおにぎりを4個もほおばっていたのは誰だっけな~」

本宮は子供のような声で言った。

「うん・・・それは俺だよ・・・だってお前あの時食ってる姿をタブレットで撮ってたもんな・・・、まあこのサラダはありがたく受け取っとくよ・・・今日は急に出勤だったから昼飯まともに食べられてないし・・・ありがと・・・」

西田井は顔を赤らめながら本宮の買ったサラダを受け取った。

西田井は本宮を彼女の制帽の上からポンと手で軽くたたいて

「本宮、お前もなかなか様になってきたな、俺が運転教えてやった時よりもうまくなりやがって、これからも頑張って行けよ」

と言った。本宮も

「はい!がんばります」

と言って西田井と別れた。

そして、烏山線の列車が入ってくる8番線への階段を下りてホームへ向かっていった。




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