接続待ち
9時56分・・・25秒、あと10分ほどで発車時刻だ。
そこに耳をつんざくほどの大きさで輸送指令から無線が入ってきた。
「こちらは輸送指令、指令から634M列車運転手、走行区間の報告願います、どうぞ」
634Mは黒磯~宇都宮間を走る普通電車だ。
(あー、うるさい、誰だよこんなに無線の音量大きくしたやつ、調整っと。あれ634Mってもう宇都宮到着してるはずじゃあ、遅延してるのかな?TIMSで確認してみるか。えっと遅延情報っと)
本宮はそう思いながらTIMSで遅延列車の表示を見た。どうやら634Mは異音の確認のため15分遅れでの運転しているようだ。
「えーっと、宝積寺~岡本間走行中です。どうぞ」
634Mの運転手はそう答えた。そしてこういった。
「あとさっき車掌から真鶴へ行くお客様がいらっしゃって、宇都宮で3527Eの接続は取れますかと質問されたのですが、いけますか?」
3527Eも上野東京ラインを経由して、東海道線内は快速アクティーになる熱海行の電車だ。
指令は
「あー、3527Eはもう宇都宮出ちゃいましたね。今日は後続の1555Eに634Mは接続となるので、今日は1555Eに代わりに接続取らせる予定なのでそれで真鶴まで行けると伝えてください。どうぞ」
634M運転手は
「ありがとうございます。それでは終話しますと言った」
その無線を聞いていた本宮はこの列車が接続待ちで遅延しないかと心配になっていた。
そこに輸送指令から無線が入った
「こちらは輸送指令、現在宇都宮駅停車中の1555E応答願いますどうぞ」
えっ、こっちに無線!?、と思いながら無線機を取った。
「はい、こちら1555Eですどうぞ」
指令は
「1555E運転手、さっきの634Mとの無線、もしかして聞いてましたか?どうぞ」
本宮は
「えっと、聞いていましたが。どうぞ」
輸送指令は、ほっとした声で
「それでは1555E、遅延中の634Mからの接続で2~3分の遅れが予想されます、運転に際してはやれそうだったら回復運転をお願いしますそれでは指令終話します」
本宮は、車掌に対してブザーを打った。応答しろの合図だ。すかさず車掌からもブザーが返ってくる
本宮は
「あ、車掌さん、634M からの接続待ちでこの電車の宇都宮発車が2~3分ぐらい遅れそうなんで放送入れてください」
車掌は
「わかりました、それじゃあ放送入れますね」
と答えた
『お客様にご案内をいたします、ただいまこの電車への接続となります黒磯方面からの電車が遅れております。接続待ちをいたしますので、この電車の発車は2~3分の遅れが予想されます。お急ぎのところ、発車時刻が遅れましてご迷惑をおかけいたします。申し訳ございません。発車までご乗車になりまして今しばらくお待ちください』
放送が終わると車内は時計を見る乗客が多々見られた。
10時07分、205系500番台4両が9番線に到着した。634Mだ接続の1555Eは7番線に停車中のため、こ線橋に人が殺到する。こ線橋で線路をまたいで乗り換えしなくてはならないのである。7番線の階段に近い1555E の7,8号車付近に人が殺到する。車掌が
『押し合わず中の方まで順序良くお進みください、また先頭部1~3号車付近も空いております。ご利用ください。お客さまの乗車が完了次第すぐに発車をいたします』
と、放送を入れた。1555Eの後は東京方面は20分近く間隔があくためこれを逃すと結構痛いのだ。特に今は18きっぷの時期のため、いつもの2~3倍は利用客が多い。車掌は駅員から
『業務放送、1555E乗車終了です』
の放送を聞くと、発車メロディーを2音だけ鳴らしてドアを閉めた。
本宮は知らせ灯が点灯したのを確認するとブレーキを緩めすぐに発車した。
3分遅れか・・・、そう思って宇都宮駅を発車した。
着発線はテキトーです