俺は最強
「吉田ぁ~~!!あれやってくれよ!!3大欲求!!」
ーーまたか、このウェイ系どもめ。
時刻は午後1時。我が高校の時間割で言えば、その時刻は昼休みを指す。
俺はいつもの通り、独りで読書を嗜んでいたのだが、クラスメイトのウェイ系が、またも俺にちょっかいを出してきた。
「おい吉田!訊いてんのかよ!」
ウェイ系のひとり、サッカー部の小野が俺の肩を力任せに叩く。背中に伝わる振動が、不快感をつのらせている。
こういうのは、敢えて従ってやるもんだ。頑なに相手の要求を断ると……け、結構困ることになる。
俺はため息を吐き、立ち上がる。するとウェイ系達がざわめき始めた。
仕方が無い。今日もやるしかないんだ。
そう心に訴えかけ、俺は覚悟を決めた。
「ーー行くぞ」
「「「うおおお!!」」」
俺の一言に、周囲のざわめきはさらに騒がしくなった。
ーー慄け、愚民共。
心の中でそう呟くと、俺は左腕を天に掲げる。そしてーー叫ぶ!
「人間の3大欲求を教えてやろう!!」
そのまま腕で空を切り、続けざまに叫ぶ。
「食欲!睡眠欲!そしてーー性欲だァ!!」
どうだ、としたり顔で周囲を見る。すると、ウェイ系達は腹を抱えて大笑いしていた。
「っははははははは!流石吉田だぜ!!こんな恥ずかしいこと普通しねぇって!!」
「吉田最高!!今日もいい恥辱ショーをありがとうな!!はははははは!!」
「もう満足だわ、購買行こうぜお前ら」
あっという間にウェイ系達は去り、その場に俺ひとり取り残された。
「畜生、こんな筈じゃ……」
ガクリ、と項垂れる。気を紛らわすために読書に戻るが、ウェイ系共への怒りがふつふつと沸き上がり、集中できない。
ーー見てろよ。俺の『チカラ』をもってすれば、貴様らなんて……!
そう、俺はただの人間ではないのだ。
結局、昼休み中に読んだ本の内容は一切頭に入ってこなかった。