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取り敢えず、絞りカスは置いといて回復成分はどうしましょう。
濃縮してみたらどうなるかな?
鑑定
回復成分ヒーリングエッセンス(ランクB)(濃縮)
濃縮されたヒーリングエッセンス。回復量は3%になったが、単体では効果が薄い。(効果1回、インターバル1分)
インターバルはポーション酔いに成らない時間だと思う。これ普通のポーションは2本まで連続で飲めて3本目からインターバルが5分。4本目を飲む時は10分で回復量は28%、ヒーリングエッセンス(濃縮)だと、10分で33%、普通のポーションより回復量は増えてる!!
いや、落ち着いて考えよう、飲み物を10分で11本も飲んでたら、モンスターに狙い撃ちされるよね。危ない危ない。
やっぱり回復量が多い方が楽に回復できる。でも、どうしたらいいんだろう。うーん。
「?そういえばヒーリングエッセンスは同じ量あるハズなのに、何でポーションの方が回復量多いんだろう?」
分離しても質量は同じなハズだ。ポーションにある何かが原因だと思う。
「もしかしてハチミツかな?」
ヒーリングエッセンスにハチミツをポーションと同じ量入れてみる。
鑑定
回復成分ヒーリングエッセンス(ランクB)(濃縮)
濃縮されたヒーリングエッセンス。回復量は四パーセントに増えたが、単体では効果が薄い。(効果1回、インターバル1分)
うーん。ヒーリングエッセンスで2%、濃縮で1%、ハチミツで1%、同じ物が入ってるポーションが8%、負けてるよね。やっぱり薬草かな?
苦味を取るために分離したのに薬草を入れるのかぁ。分離して出た薬草の絞りカスを少し入れてみる。だって苦いのイヤだもん。
鑑定
回復成分ヒーリングエッセンス(ランクB)(濃縮)
少量の薬草成分が入ってるヒーリングエッセンス。
薬草成分が極少量のみ入ったことにより、最大限の回復量12%に達した。(効果1回、インターバル15分)
うわ、いきなり上がった。遂に10%の壁を越えた!
「アハハハハハハハハハハハ!凄いや!こんなに伸びるなんて!アハハハハハハ!」
ふぅ、凄く落ち着いた。
少しテンション上がり過ぎてた。恥ずかしい。見られてたら悶え死ぬレベルだった。
インターバルが15分はきついが普通のポーションの2倍近くは凄いんじゃないだろうか。
これは売れる!!あ、でもこんな得体の知れないエッセンスを外套着た人が売ってたら、僕なら絶対買わないな。やっぱりポーションの方が売れるよね。
回復量が多いポーションから回復量が多い謎のエッセンスにいつの間にか変わっていた。危ない危ない。ちょっと脱線しちゃった。
12%ヒーリングエッセンスの説明を見てたら、薬草成分が少なめの方がいい気がする。ヒーリングエッセンスは多い方が効果を発揮するんだと思う。
考えついたのが、濃縮ポーションにハチミツとヒーリングエッセンスを入れることだ。勿論濃縮ポーションにもハチミツは入れる。
ハチミツはヒーリングエッセンスとくっついたら効果を発揮するんだと思うんだ。そして同時にヒーリングエッセンスは薬草成分と少量くっついたら効果を発揮する。
要するにエッセンスとハチミツは同じ割合で薬草成分をヒーリングエッセンス1つ分という少なさにする。
成功してくれよ。
合成、作成しますか?
yes/no
今更だけど、なんでレシピにないのに作成も反応するんだろう?上位レシピにのってるのかな?
yesを選びスキップ。
鑑定
濃縮ポーション《特》(ランクB)
特殊な製法で作られたポーション。下級ポーションとは思えない回復量15%を叩き出した。(効果1回、インターバル6分)※ポーションは最初のみ2本までインターバル無しで飲める。
足が震えてきた、いや、足だけじゃない。全身が感動で震える。まさか本当に出来るとは。考えが間違ってたり失敗する可能性もあった。だけど、目の前には最高のポーションがある。
「やったぁああああああああああああああああああああああああああ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
僕は店を飛び出した。
この感動で落ち着くなんて無理だ。止めるにはこれを試すしかない。
「ポーションサイコーーーーーーーーーー!!!」
プレイヤー、モンスター、風さえも追い越して、緋色達が向った次の街に行く為のボスがいる暗い森に行く。
東にある光る森の反対にある暗い森は、草原より強いモンスターが出てくる。草原は町の近くにララビット、それより遠くにゴブリンがいるが、矢が2本当たっただけで死ぬゴブリンにこの回復薬は勿体無い。
暗い森のモンスター、暴れグマ、ハイゴブリン、レッドキャップを過ぎ去って着いたのは森の中心部。
暗い森はいつの間にか進んでいた方向が変わって中心部に吸い寄せられるのだ。って、緋色が言ってた。
そして、そこには暴れグマのボス、キリングベアーがいた。
「グガアアアアアアア!!」
「ほら、サッサと傷付けてみてよ!」
クマに近づいてキックを叩き込む。一瞬ビックリしたクマだったが、STRをまったく増やしてない僕の攻撃が効くハズもなく、キョトンとして数秒後、馬鹿にされたとばかりに怒り出した。
「ほらほら、ノロマなクマちゃん!僕を捕まえてごらん!アハハハハハ!」
「グガアア!!アアアアアアア!!」
空歩と壁蹴りでクマの周りを飛び回る。いや、跳び回るかな?たまにキックを叩き込む。クマのボルテージが上がりまくりだ。僕は足を止める。
「アアアアアアア!!」
クマが迫ってくる。たが、ポーションを使うにはダメージを受けたい。回復するのが見たい!僕はこの攻撃を受ける!!
「さぁ、かかって来いよクマァ!!爪なんて捨ててかかってこい!!」
「ガアアアアアァ!!!」ザシュ!!
「あれ?」
クマの攻撃が当たった瞬間にポーションを飲もうとした。でも、何故か飲もうとしても飲めない。口に栓をしたようにポーションが入ってこない。
そして、
僕は店の天井を見つめていた。ポーションを握りしめて。