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お馴染みの草原に着いた。早速空歩をする。
コツコツと歩ける。問題は壁蹴りが何故か落下中に使えた事だ。
歩きながら考えてみる。
空歩は足場を足元に作り出して歩くスキル。
壁蹴りは壁を蹴って高い所に登れるスキル。
もしかして、空歩で足場を作って壁蹴りをしたら発動出来るのだろうか。
早速試してみる。助走を付けて走る、そして壁があるのをイメージして前に足を蹴り出す!
トンッ。
スタッ。スカッ。
おおおお!!!出来た!着地後にびっくりして落ちたけど壁蹴りは成功したぞ!
《壁蹴りがレベル2になりました!》《空歩がレベル10になりました!レベルが最大になりましたので立体機動レベル1を習得しました!》《キックレベル1を習得しました!》
あれ?空歩がレベル10になった?なんでこんな急に上がったんだろう?
ああ、テンション上がりすぎてアナウンス聞いて無かったのかな?
立体機動は少しタイミングが長くなり、横だけじゃなく上にも足場を作れるらしい。
「うひょひょぉぉぉっ!!」
ダンダンダンダンダン!!!
1分後に上下左右に飛び回る僕の姿があった。
超エキサイティング!
「そこのお前!初心者フィールドに飛び回る布が居ると通報があった!プレイヤーだよな!初心者が怖がっているから止めろ!」
「ええっ!」
その後めちゃくちゃ説教された。なんか気持ち悪いスキル練習は人気の無いとこでやるように義務づけられてしまった。ついでに警備の人はマーモルさんで、プレイヤーが困った事に対応する警察ギルドの人みたい。お詫びにベッコウ飴を渡しとく。
「よし、ポーションとかの素材採るぞー!」
怒られたからスキル練習は置いといて、草原から少し先の光る森で素材集めをする事にした。
光る森は光の精霊が多く住み、木が聖なる光を放っているためモンスターが近寄らない。
その為、素材集めにいいと聞いてやって来ました。
「おっ、これが薬草か」
草原と同じ雑草より少し高い草を見つけた。とりあえず鑑定。
薬草
案外沢山生えている草。体力を回復させる効果がありすぐに生えてくる。
うん。簡単すぎる説明だなあ。鑑定のレベルはすぐには上がらないよなあ。
プチプチと取っていく。ふと、コレってどれくらいで伸びるんだろうと思って1本のそばに矢を刺しておく事にした。明日も来るだろうしいいんじゃないかな。
「ちょっと取りすぎたかな?」
30分後、薬草は60本採れた。あとは木の棒40本、石45個、光る葉っぱ20枚だ。
帰ろう。矢どこに刺してたっけ?元来た道を戻ると、
「速っ!30分で!?」
そこにはもう再生して元の大きさに戻った薬草があった。30分で再生するなんて、薬草、恐ろしい子!
帰り道、他プレイヤーに、ガン見され、変装しても、目立ってしまう。
「ただいまー」
ホームに帰って買ってきた小物入れに、葉っぱ等入れるために机にアイテムをばら撒く。
「分けるのってめんどくさいぃ」
イチイチ何か確かめて所定の場所に入れるのは時間がかかる。超メンドイ。
選別しますか?
yes/no
おおおお!!!取ってて良かった選別。
さっそくyesだ。
石。棒。光る葉っぱ。薬草1。薬草2。
あれ?薬草が二つに別れた?何でだろう?鑑定も同じだけどなあ。
それよりも、選別面白い。目の前で物が動き回って勝手に別れるなんて、魔法みたい。
そうだ!何回も混ぜて選別してをくり返したら選別のレベル上がるんじゃないか?
混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別を混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別、混ぜて選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別選別・・・・・
はっ!もうゲームはじめて5時間の警告が鳴ってる!いつの間に!
夢中になるとつい、時間を忘れるのが悪い癖なんだよね。アラーム無いとゲームなんて出来ないよ。
今日1日でいろんな事が起きすぎた。もう何もしなくても暮らせる環境が整うって早すぎない?
まだ初日だよ?
ログアウトを選択すると目の前が真っ暗になっていく。そしてようやく現実に戻った。
「御使い、どうだったよ!ニューパラは!なかなか面白いだろ!」
「うん、想像以上に面白かった。少し休憩してからお互い何したか話そう」
「おう!」
トイレやら水分補給やらを済ませてお菓子を食べながら報告し合う。
「俺は草原を抜けた後はβテスターの皆と一緒に最初のボス攻略に行ってたな。深い森のボスと道に出てくるボスを倒したんだよ!もう次の街まで行けるんだぜ!お前にも見せてやりたかったよ」
「へー、ボスって1回倒したら出てこないの?」
「いや、倒した場所の近くにダンジョンができて、そこのボスで出てくるぞ」
それならボスフルコンプもできるんだ。ボス素材は良いものだよね。
「で、御使いはどうなったんだ、簡単にでいいから教えろよ」
「うーんと、兎狩ってたら絡まれて、変装して戻ってまた兎狩って、兎のドロップ売りに行ったら大金持ちになって、買い物した後スキル練習してたら死んだり怒られたりして、素材集めしてた」
「・・・お前、別のゲームやってないよな?」
しょうがないから細かく説明すると、
「なんで初日でβテスターの中でも1番の金持ちの総額を上回っているんだよ・・・」
なんか凄い落ち込んでいる。
と、緋色がいきなりパソコンを立ち上げた。
「これはゲームの中でもある、スレ板だ。ちょっと見てみろ」
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4件も僕の事が書いてある!ポーション20本(200ゴールド)も合わせれば5件だ。
「もうどうアドバイスすればいいのかわからん。目立たないのも無理だし、いっその事有名キャラクターになれよ」
「そんなー、目立つの苦手なんだよー」
緋色も知ってる癖に。でもソフトが二万円もしたから辞めるのも勿体無いし、ぐぬぬ。
「あと、ブログでもやれよ。情報流さないと不味いことになるぞ」
「どうなるの?」
「必要な素材にララビットのシッポが必要だとするだろ。ララビットのシッポがララビットから取れる事を知らない、ララビットがどこにいるか分からない。そんな時、情報を持ってたやつが何も言わなかったのが後から分かったらどうなる?」
「お、怒る?」
「最悪プレイヤーキルされたり、嫌な目で見られたり、根も葉も無いウワサ流されるかもな」
怖い。ずっと追い回されるなんてイヤだ!
「ヒーロー、書き方教えてー!」
「その呼び方止めろ!教えてやるから!」
そして、僕達はブログを書き始めるのだった。