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「えっと、昨日はごめんね。ありがとう」
「わかったからそんな言い方すんなよ!お前女顔だから目立つんだよ!教室で言うな!」
「「「「「「「チッ!!!」」」」」」」
一斉に舌打ちされた。
「女子は兎も角、なんで男子も舌打ちしてんだよ!俺ら男同士だろうが!」
「そう、男の子と男の娘。だが、それがいい(んじゃない)!!」
「ヤメテ!?」
「お前ら席つけ!まだショートホームルーム中だろうが!?」「「「「はーい」」」」
僕の学校はそこそこの学校だと言える。だけど何故か濃い人ばっかりだ。クラスメイトの人がいじめられっ子かと思って緋色が助けたら、本当は殴られて喜んでた時があってちょっと困ったりした。
お昼休み。屋上で緋色と弁当を一緒に食べる。
「は〜、めんどくせー、止めろよな。ただでさえBL扱いされてんだぞ」
「僕はお礼言っただけ何だけど」
「お前が金髪、華奢、(見た目)美少女で低身長だからな。仕方ないだろ。それより、ニューパラは出来るのか?昨日怒られただろ?」
「時間制限はあるけど出来るよ」
気を付けないと精神が崩壊するかもしれないし。
「昨日は何してたんだ?」
「ポーション作ってたよ。良いのが出来たと思う」
「へー、ラックが高いのかもな」
「?ラックって何?」
ニューパラには隠しステータスがあるらしい。
rack(クリティカル率)やAPP(友好度)等、ステータスには出ないけど、運営が有ると公言してるらしい。
「いや、条件とか変えたら何回も同じのが出来たから関係ないと思うよ?」
「ふーん、それじゃあ俺も貰おうかな?」
「1つ100ゴールドになります」
「安いな!」
「え?」
「え?」
いや100ゴールドってポーション1つ10ゴールドだったから10倍もするのに何言ってるの?
「ポーション皆が一斉に買っていったから今は品薄状態だぞ?今NPCのポーションで130ゴールドだ」
「13倍!?」
高過ぎない?生産職の人が沢山作ってないの?
「生産職でも生産量が追いついてないな。生産職は今量作れないからってぶっ叩かれてるから、お前何も言わない方が良いぞ。今は皆薬草を苦草を噛みつぶした顔で食ってるな。実際に苦いし」
「え?どうしよう、昨日ブログにポーション作ったって書いたんだけど!?」
「マジか!?ホームページの閲覧数調べろ!」
2人だった。嬉しい様な悲しい様な。とにかく大丈夫そうだ。
そして長い学校も終わって放課後、早速ニューパラにログインする。
外套を被ろうとすると、既に着ていたローブの袖が縮み、すっぽり収まった!凄い!
あ、外套に自動調整機能付いてた。装備の上から被れて凄い便利だ。
「俺の正体を現す時のようだな!」バサッ!とか謎キャラごっこも出来るね。
「よし、店を改造しますか」
棚置いたりするだけなんだけどね。
とにかくスコップで土を掘り返して、買ってきた花を淵に植える。
棚をコンビニと駄菓子屋を参照に置いていく。そのうち作る物が並ぶのを楽しみにして、今は空の棚が並んでいく。
最後の最後に古びた看板に作成で木工制作キットで名前を掘って完成だ。
雑貨屋
〜アンダンテ〜
アンダンテは歩く速さでという意味。ゆっくりノンビリと店をするにはぴったりだと思う。
まあ、まだポーションしかないから、もうちょっと色々作ってから始めるかな。
「すいません!ミーちゃんですか!?」
「ひゃ!?」
さっきから見ている人がいて、冷汗ダラダラでさっさと何処かに行かないかなーと、思いながら作業してたら男の人が話しかけてきた。もしかしてブログ見た人かな。
「いきなりすいません。俺にポーション売って下さい!1つでいいですから!」
「ポーション?というかまだ店開いてないですから」
「お願いします!150ゴールド出します!どうかお願いします!」
そんな事言われても困る。まだ在庫数は足りてないのに減ったら困るよ。なんでそんな高くしてでも買いたいんだろう。凄い気になる。
「なんで、そんなにポーションが欲しいんですか?薬草でも回復出来ますよ」
「俺はア、ライっていいます。リアルで仲良しの奴に勧められたんですけど、STRに振りすぎて避けられないし、当たったらHPがガンガン削れるんですよ。友達はキリングベアー倒して次の町に行っちゃったんですよ。どうにか一緒に行きたいんです。友達と一緒に進みたいんです!」
なるほど。確かに友達と一緒にやりたいのは普通だろう。
「そうですね、それじゃあ60ゴールドと交換しましょう。そして、店が出来た暁には常連さんになって下さい」
「え?60ゴールド?今140ゴールドが相場ですよ!本当にいいんですか!?」
「本来は10ゴールドですからぼったくっている方ですよ。それに、革鎧買ったならお金が無いと思いますけど」
「!!ありがとうございますっ!また来させてもらいます!」
「毎度あり〜」
・・・濃縮ポーション《特》渡したけど良かったかな?
まあハチミツの50ゴールド(砂糖とあわせて買ったからあわせて100ゴールドだった)の半分も使ってないし、時間もかからないし、問題無いね。
それにしても外套が汗でシットリしている。ベタベタくっついて気持ち悪い。無駄にリアルでイヤだな。取り敢えず外しておく。店に入れば問題無い。
「すいません、ミーちゃんさん。ポーション見せてくれませんか」
スタイリッシュな黒髪、高身長、俳優みたいなイケメンがいた。全身高級感あふれる金の刺繍が入った商人っぽい服を着てる。それでいて下品では無い。この人何気にライさんの後ろに隠れてたんだよね。
「どうぞ、さっきの人と同じでいいですよ」
ポーションを渡す。イケメンはポーションをまるで舐めるように見ている。あれ?なんか眉間にシワが寄ってるけど
「200ゴールド」
「200ゴールド?さっきと同じ60ゴールドでいいんですけど」
「このポーションは200ゴールドで売るべきです!回復量1つ15%なんてハイポーションと同じ回復量じゃないですか!」
「きゃっ!?」
ビックリした。なんか200ゴールドと呟いたと思ったら、いきなりよくわからない事を叫び始めた。どうしよう?
「えーと、すいません。何故貴方が怒っているのかよく分からないんです。教えてくれませんか?」
すると、イケメンは落ち着いて、恥ずかったのかコホンと咳をして、話し始めた。
「失礼。自分はプレイヤー商業ギルド所属、プレイヤーのバランサーという者です。早速ですが、ミーちゃんさん。商業ギルドに入って下さい」
「はい?」