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CASE2.虹の消えた日。

よろしくお願い致します。

天界のあるところに美しい7人姉妹がおりました。

この姉妹は虹を司る姉妹です。

虹なので雨の上がった時などにしか仕事をしません。

そのことで天界のどの神からも嫉妬されたり疎まれたりしておりました。

ある時、管理職である神がこれこれこういう訳なので、お前さんたち、たまには下界に降りて実績でもあげてこい。

そうすれば私もお前たちを少しは擁護してやれる。

神がそう仰ったので7人姉妹はしぶしぶ下界に降りて人間たちの前に現れ、奇跡でも起こしてくることにしました。


丁度、下界では3か月ほど降りやまなかった雨がやんだところでした。

雨が止んだといっても、空はまだどんより、大地はぐねぐねに荒れ、流されるものは全部流されて下界は飢饉に見舞われているところでした。


「あ、丁度行き倒れている男の人がいるよ」

7人姉妹の末っ子である赤が言いました。

「まだかろうじて生きてるみたいだね。じゃあ私の8000℃を超える生命エネルギーを注入……」

「やめなさい馬鹿。生きてるものも死んでしまうわ」

赤をたしなめたのは一つ上の橙でした。

「ここはあたしに任せなさい。癒しの力でこの行き倒れを……」

「ちょっと待って橙ちゃん」

橙を止めたのは橙の一つ上の黄でした。

「私とあなたは手を出さない方がいいわ。癒したらダメージを受けちゃうし、私の太陽光を浴びたら消滅しちゃうわ。この人みたところ、あれだもの」

男の風貌はげっそりとしていた。骨は出て、髪はところどころ抜け落ちている。飢饉の影響か、肌もガサガサとしていた。

「……黄姉ぇ、もしかしてこの人のこと、アンデット系と勘違いしてる?」

「じゃあ、私の出番だね!」

勢いよく割って入ったのは緑でした。腕を組んで自信満々にふん、と胸を張っています。

「私が包み込もう!大地と一緒に生きるんだ!お前の命、無駄にはしないぞ!」

「だから死んでねーよ!?なんで養分にしようとしてるんだよ!?」

橙が緑に一所懸命説明していると、水が眼鏡をキラキラ反射させながら、あたりをきょろきょろと見回します。

「困ったわねぇ、どこかにもう一人、殿方がいればなんとかなったかもなんだけど……」

「水姉ぇの力って確か魔術・芸術……げいじゅつ……ハッ!?げ、ゲイ術!?」

そのような姉妹の様子を遠巻きに次女である藍が静観しています。そんな藍に橙が助けを求めます。

「藍姉ぇ、見てないで助けてよ。あたし一人じゃ無理ぃ」

「橙、ごめんなさい。私は平穏・調和だもの。なりゆきに任せるしかないわ」

「役に立たねぇぇぇ……」

橙がガクっと膝を折って座り込むと、長女の紫が凛とした雰囲気で前に出ます。

「私は高貴な精神だ。弱気を助くは貴族の務めである」

紫は豊満なその胸を揺らしながら行き倒れの男に近づきます。

そっと抱き起し、口づけをします。

「一見するとこの者は生命エネルギーの枯渇、加えて醜くなる呪いを掛けられている。それを私がキスすることによりエネルギーの注入、呪いの解じょっ……」

なんということでしょう。

紫は解説をしてましたが、その途中で自身に変化を起こしていました。

背も高く、美しかった紫の風貌がどんどん小さく、この世の者とは思えない醜いものになっていきました。

虹の姉妹は一心同体です。

姉妹たちも小さく、醜いものへと変貌してしまいました。

美しさは魔力を持つ者の象徴です。

魔力を持たない姉妹たちは天界へ帰れなくなってしまいました。

しばらく帰ってこない姉妹たちを神も探しました。

変わり果てた、その醜い姿を見ても姉妹だと気付かず、とうとう見つけることは出来ませんでした。

行き倒れていた男は何事もなかったかのように立ち上がり、歩いて行きました。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これを書いた時、私は「何でもかんでもキスで解決してんじゃねーよ」と反骨精神あふれてたんだと思います。今は解決できるなら何でも使えばいいと思います。

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