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エピローグ

エピローグ


日常生活プラスアルファを取り戻した僕は、いつものように仕事へ行き、いつものように食べて眠って過ごしている。


亜美は再びアパートを借りようとしたが、元々は学生マンションだったため開き部屋が見つからず、僕の住んでいるアパートで部屋を借りることにした。

仕事は看護師の資格があるおかげですぐに見つかったみたいだ。


ユナとシェリルはまたカフェでバイトを始めた。今度はシフトを増やし、2人で一つの部屋を借りた。まあ予想どおりこれも僕と同じアパートだ。


木村はというと、どうせすぐに現れると思っていたが、数日経った今でもその姿を見せなかった。

まあ当然と言えば当然なのだが、木村なら色々な手段を使ってこっちの世界に来るだろうと予想していただけに、少し拍子抜けである。


ん?女性陣3人と僕との関係?それはまだ曖昧なままだ。

僕がはっきりすればいいのだろうが、そのきっかけがつかめないままズルズルと最低な男になりつつあるのが現実だ。

僕としてはもうしばらくこのまま楽しい生活を満喫したいのだが、どこか物足りないのも事実だ。

決して木村がいないからってことではない。断じてそれは違うと言っておこう。


「秋人、何をボーっとしてんの?最近多いよ?」

「あ、ああごめん亜美。なんでもないよ。それより体調とかまったく問題ないのか?」

亜美はこっちに戻ってからかなりハードに働いている。

普通の人間ではないとは言え、寝る時間があまりに短い。

「うん、全然平気、ってわけじゃないけど、うちの病院ってかなりの人手不足でさ、あたしが頑張らないとダメなんだよね。だから大丈夫!」

そう言って元気に笑う亜美を見ているとホッとする。やっぱり亜美はこっちの世界で頑張っている方がいい。

「でもさぁ、亜美ちゃんもたまにはうちのカフェに来てよねー。最近仕事ばっかで全然来てくんないじゃんかぁ。」

「ごめんねー、シェリルちゃん。次の休みに絶対行くから。ね?」

「約束だからねー?秋人はよく来てくれるもんねー?」

う、こちらに話題を振らないでほしかった。ああ、亜美さんの視線が痛いですよぉ。

「ほ、ほら、やっぱりお店に紹介した立場としてしっかり経過を観察しないとね、責任っていうものがあるから。」

「へー。私が失敗するといつもニヤニヤ笑ってるくせに?」

「あ、ユ、ユナさん、バレてました?べ、別にニヤニヤしてないよ?全然してないよ?心配だなーって見守ってるだけだからね?」

いつもの会話、いつもの時間、いつもの空気。今の僕にはとても心地がいい。

人と悪魔って何が違うんだろうか?普通の人は悪魔と関わることなんてないから、そもそもこんなことを考える必要もないんだろうけど。

人は人同士でさえ蔑み、騙し、貶める。

悪魔でさえ、いや、こんな言い方したら失礼だな。人じゃない、他の種族でさえこうやって仲良くできるんだ。きっと人間同士、もっと理解し合うことが出来れば世の中が今よりも綺麗になるに違いない。

「なあ、そうだろ?木村。」


「ああ。そうだな秋人。」



 The End

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