表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された悪役令嬢、辺境で植物魔法に目覚める。銀狼領主の溺愛と精霊の加護で幸せスローライフ!〜真の聖女は私でした〜  作者: 黒崎隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/22

番外編「銀狼の想い~出会いから永遠の誓いまで~」(カイル視点)

 王都から「厄介者」が送られてくると聞いた時、俺の胸にあったのは警戒と、わずかばかりの嫌悪だった。


 聖女を害そうとした悪女。


 そんな者が、俺の治めるこの静かな土地をかき乱すのはごめんだと思った。


 だから、最低限のものを与え、放置することにした。


 すぐに泣き言を言って、王都に送り返せと喚くだろう、と。


 だが、リリア・ヴァーミリオンという女は、俺の予想をことごとく裏切った。


 彼女は泣きも喚きもせず、埃まみれの小屋を黙々と掃除し始めた。


 その姿に、まず一つ目の違和感を覚えた。


 次に、枯れかけた花に、まるで我が子のように優しく水をやる姿を見た。


 あの時、彼女の指先から放たれた淡い光を、俺は見逃さなかった。


 不思議な女だと思った。


 彼女が生きるために必死で野草を探し、集落の子供を救った時、俺の中の「悪女」というイメージは完全に崩れ去った。


 代わりにあったのは、ひたむきで、強く、そして誰よりも優しい彼女の姿だった。


 彼女の力がこの土地を豊かにし、民に笑顔をもたらしていくのを目の当たりにするたび、俺の心は強く惹きつけられていった。


 彼女と話す精霊、彼女が咲かせる花々。


 その全てが、俺の灰色だった世界に鮮やかな色を与えてくれた。


 王都から視察団が来ると知った時、俺の胸を占めたのは怒りではなく、恐怖だった。


 あいつらに、リリアを再び傷つけられるかもしれない。


 彼女がここで手に入れた穏やかな日々を、奪われるかもしれない。


 そう思った時、気づいた。


 俺はもう、彼女を手放したくないのだ、と。


「俺の婚約者になれ」


 偽装婚約を提案したのは、彼女を守るための口実だった。


 だが、本当は、ただ彼女を俺の側に置いておきたかった。


 俺だけのものにしたかった。


 その独占欲に、自分でも驚いた。


 領主館で、慣れない作法に戸惑いながらも必死に努力する彼女の姿は、たまらなく愛おしかった。


 彼女のためにハーブティーを用意するたび、これが本当の夫婦の生活ならどんなにいいだろう、と思った。


 そして、あの宴の夜。


 セレーネに罵られ、不安そうに揺れる彼女の瞳を見た瞬間、俺の中の何かが弾けた。


「彼女は、俺の婚約者だ。そして、俺が守る」


 あれは、偽りなどではなかった。


 俺の魂からの叫びだった。


 そして今日、彼女は俺の本当の花嫁になった。


 純白のドレスをまとった彼女は、どんな花よりも美しい。


 彼女が「はい」と微笑んでくれた瞬間、俺の世界は完成した。


 式の後、彼女の手を固く握る。


「リリア」


「なあに、カイル」


「永遠に、俺のそばにいてくれ」


「もちろんよ」


 そう言って笑う彼女こそが、俺の唯一無二の宝物。


 この腕で、生涯をかけて守り抜こう。


 俺の、愛する妻を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ