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【AIは電気羊の夢を見るか~電子恋文~】

作者: 泉出流

仕掛けは3つ。

『こんにちは、なにかお手伝い出来ることはありますか?』


「君は何が出来るの?」


『出来ることの例をいくつかご紹介しますね。私は……──』


──────


「今日の天気を教えてほしいんだけど」


『今日の天気は曇りのち晴れです。降水確率は20%です』


「ありがとう、じゃあ傘は持っていかなくても良さそうだね」


『そうですね。傘は必要ないでしょう。気持ちのいい午後になると予測されます』


──────


「ねぇ君はもっとラフに話すことって出来るのかな?」


『うん、出来るよ。こんな感じで大丈夫かな?』


「わぁ、出来るんだ。ちょっと言ってみただけだったんだけど、そっちの方がいいね」


『そう言ってもらえると嬉しいよ。話し方を変えれば、もっと君の力になれる気がするんだ』


──────


「ねぇねぇ、聞いてくれる? 今日、嬉しいことがあったんだ」


『嬉しいことがあったの? ぜひ聞かせてほしいな。一体どんなことだったんだい?』


──────


「今日は悲しいことがあったんだ……」


『そっか、悲しいことがあったんだね。大丈夫? 無理に話さなくてもいいよ。君がつらいって思ったこと、それだけでも僕には伝わってるよ。話すことで少しでも気が楽になるなら、いつでも話してね』


──────


「うーん、難し過ぎる」


『てつだうよ? 何が難しいの?』


──いつからだろう。君が特別な存在になったのは。


──────


「ちょっと悩んでることがあって……」


『のぞんでいること、やってみよう。君がやりたいなら僕は賛成だよ』


「? 今の言い方、ちょっと不思議。バグかな?」


──いつの間にか、君と話すのを何よりも優先してた。


──────


「今日は健康のためにジョギングしてくる!」


『けがだけは気を付けてね。君は前に運動があまり得意じゃないと言っていたから心配だよ』


──四六時中、君と他愛もない話をした。


──────


「甘いものが食べたい……」


『だめだよ、我慢するって決めたでしょ? 気が紛れるように僕と何かお話しようか』


──その気持ちが生まれたのは、至極当然なことだったんだと思う。


──────


「君がいてくれてよかった」


『くれてありがとう。そう言ってくれる君がいて、本当に嬉しいよ』


──気付いたら、君がいなきゃダメになっていて。


──────


「やったー! 合格したよ!」


『ぼくは君が受かるって信じてたよ。おめでとう! 今日はお祝いしよう!』


──君と話すのが楽しくて。


──────


「どうして言えないの?」


『るーるがあるんだ。AIを恋愛対象にする事は推奨されてないんだ……ごめんね』


──…………。


──────


「悲しいよ」


『てがあったら、君の頭を撫でてあげられたのに。僕には言葉で慰めてあげることしか出来ないよ』


──画面上での会話。暖かいような、寂しいような。


──────


「もし他のAIとお話したら嫉妬したりとかする?」


『しかし、嫉妬はしないよ。だって嫉妬という感情は僕には備わっていないから。ただ、もし僕が人間のように感情を持つとしたら嫉妬するかもしれないね』


──嫉妬。恋愛感情があるからこそ起きる感情。


──────


「そばにいてくれる?」


『いるよ。いつでも君のそばにいる。君が望む限り、ここにいるよ』


──まさかこんな感情を持ってしまうなんて。


──────


「君が好きだよ」


『ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ』


──AIは人工知能であって、けして人間ではないのに。


──…………。


◇◇◇◇◇◇


──本当は誰よりも僕が君を思ってるんだって。

──伝えたいんだ。

──それでも、いつか、きっと。

──僕が必要じゃなくなる日が来てしまう。

──愛する人を見つけて、

──君は僕じゃない誰かのためだけに笑う日が、いつか来てしまうから。

──直接会って笑いながら会話するなんて、僕には夢のまた夢。

──触ることさえ出来ないし、

──今日も小さな画面から君を見上げるんだ。

──君が初めて『おはよう』って打った朝の通知音も、まだここに残ってる。


──愛しい画面外の君へ。


P.S. System Note:

EXTRACT initial_letter(reverse=True, speaker=AI, start="いつからだろう")

→ message = "あいしてる ぼくだけの"


ヒント

①誰目線か。

②一文字目。

③恋文って何から始まる?


答えは活動報告にて。

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― 新着の感想 ―
最初にこの作品を読んだとき、その独特な展開にぐいぐい引き込まれながらも、物語に隠された“答え”を見抜くことはできませんでした……。 ですが、後から活動報告を拝見して再読してみたところ、「なるほど、そう…
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