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 レンガ状の壁と床がガタガタガタと音を立てる。

それは地震や空気の振動ではなく、レンガ自体が意思を持って動きガタガタガタと鳴らしている?

 どういうことか、それは簡単な話であった。


 「おはよう。岩男。もう起きる時間か……」


 起きるとすぐに柄杓に水を汲みウガイをする。

桶に入ってる水は地下水を汲んできているものだ。


 水面に映るのは赤い肌、赤黒い角が額から2本うえに伸びている。瞳は金色に光っているが人間の頃の顔は残っている。

 顔を洗って何度も縫い合わせたセーラー服を着る。

銀のペンダントとベルトを腰に巻き付け、道具袋と日本刀を腰に刺す。



レンガ状の岩壁はこの世界で下僕にした魔法生物。

ゴーレムの岩男。名前は私ではなく、静香がつけた。


 岩男はこの部屋全体を司っている部屋そのものがゴーレムなのだ。

 簡素な木の扉を開ければ外は薄暗い迷宮の中。


 この場所は地下迷宮の第二層に位置する場所で迷宮の内部にゴーレムを使って部屋を増やして住んでいる。


 外に出るとゴブリン達が敬礼する。


 「おはよう」


 ゴブリン言語での挨拶に反応してゴブリン隊長が1列に並ぶ兵士たちより前に一歩出る。


 「おはようございます。本日も自然発生した魔物4体、全てウルフマンです。既に服従済みです」


 端的に状況説明をするゴブリン隊長にゴブリンへの敬意を表すハンドサインを送る。

ウルフマンは後で確認するとして、まずは飲水の確保が日課のひとつ。


 苔の生す洞窟道を進むとコカトリスの養鶏場がある。ここではスケルトンとデュラハンが鶏糞の掃除や卵の管理を行なっている。


 そこを過ぎれば地下水が溜まってできた地下湖がある。

水面には漂う枯葉と、見知らぬ魔物の骨――長く閉ざされたこの水脈は、今や澱みの巣窟だ。


「また、随分汚れるわね。」

神ノ木奈々は腰の革袋から魔石を取り出した。

彼女は足元に光の円陣を描くと、小さく呪文を囁く。


まずは 「ふるいの呪文」。

水面に見えない網が広がり、漂っていた枯葉や虫の死骸、細かな砂が静かに宙へと舞い上がる。

それらは空中で淡く燃え、灰になって消えた。



 奈々は指先から青い光の粉を湖に落とす。

粉は瞬く間に水中で粒となり、粒同士が結びつき、黒い塊を作っては底へと沈んでいく。

これは 「結びの呪文」――汚れを束ね、重みを与えて沈殿させる術だ。


上澄みが見えてくると、彼女は湖の中央に向かって手を伸ばす。

地面から水晶の柱がせり上がり、層を成した白砂と瑠璃石がきらめく塔となる。

塔の中を水が通り抜けるたび、濁りが吸い込まれ、匂いも音も失われていく。

それは 「清澄の塔」――水を静かに、確実に澄ませる魔法の迷宮。


そして最後に、奈々は胸元から銀のペンダントを握った。

「精霊よ、この水脈に宿れ」

ペンダントから溢れた白銀の輝きが湖全体を包み込み、光の精霊が水面で踊る。

潜んでいた微小な魔物たちが悲鳴もなく霧のように消えていった。

この 「聖浄の光」が終われば、もう病も呪いも残らない。


水面は鏡のように澄み、仄かに甘い香りさえ漂わせている。

奈々は掌ですくい、一口飲んで目を細めた。

「おいしくはないけど飲める。」


その声は、暗い迷宮の中で小さく響き、日課の一つが終わったことに満足する。帰り際にコカトリスの雄一羽を鷲掴みにし暴れるところを優しく撫でながらおとなしくさせる。

 おとなしくなったあと連れて行くのは一層から2層につづくトラップエリア。その中で落とし穴形式の釜茹でにするトラップがあるのだがそこまで持って行く。合間に首を刀で切り裂き、血抜きをするために逆さまに持つ。コカトリスは脳が2つあり、鶏と同じ見た目に大きさだが尻尾がヘビの魔物。尻尾にも脳がありヘビの方も絞めておく。血抜きのあと釜茹での罠を壁の出っ張りを押すことにより作動させる。

グツグツ煮たたった水にコカトリスを浸け、毛をむしり取る。毛を抜いて丸裸にしたら尻尾のヘビを切り落とし、鶏の部分の下処理をする。

腹を割いて出てきた内臓は肝についた心臓と砂ズリは取り外し、腸は見回りにきたゴブリンにあげると美味しそうに食べる。

 

 少し気持ち悪さを感じながらヘビの部分あげると大喜びでむしゃむしゃと食べた。少し小太りなゴブリンなので食べるのが好きなのだろう。


 丸鶏を持って帰り胸肉だけを削ぎ、他は魔法で凍らす。胸を鉄板に乗せて火の魔法を行使、焼いただけだが十分おいしい。

 塩やこしょうや砂糖やしょうゆなどの調味料が恋しい。この迷宮では見つかりはしない。


 焼いた肉を昔殺したウルフマンの頭蓋骨を削って 

作った特製の器に焼いた鶏肉を置く。

両手を合わせていただきます。


 パサパサであまり美味しくないし、半分生焼けだった。それにまだ血抜きが完璧ではなかったようで血なまぐささが残っていて風味を邪魔している。


 料理はいつまでたっても上手くならない。はぁ、とため息をつきつつも貪っていると何やらゴブリン達が慌ただしく一層に向かうのを感じた。

 奈々は感覚が鋭く、ある程度の範囲ならば誰がどこにいるかをうっすらと感じることができる。

 どうやら食事中に侵入者が現れたらしい。


 噛み切りにくいし飲み込みにくい鶏肉を少し急ぎめで食べつつ上の侵入者たちをどう使おうかとたくさんの思考を巡らせる。


 「やっぱ実験に使お?」


 「実験はありね。後はスケルトンを増やすか。」


 神ノ木奈々は一人で喋りながら食べ終わると準備運動をした後、上の階層に昇っていった。


 そして人間たちと対峙するー



  

 

 

 

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