第二話 赤い髪の少女
シリアスに近いかな?
そして長いです
朝河刀夜の目覚めは最悪だった。
鼻を突く異臭と目を開いたと同時に見た光景はトラウマ確定だったからだ
人家も畑もない見渡す限り一面に草が生い茂っている荒野に刀夜はいる
吐き気を抑え上半身だけを起こす
刀夜の眼前に広がる光景はまさに地獄絵図だ
腕ごと引きちぎられた鎧、折れた長槍、無数の屍、それらをぬらす血
荒野に生えた草は血によって赤く染まり日が沈む瞬間それらが銀色に光る
「なんだよ これ」
風に運ばれて死臭が刀夜の鼻をつく
ここが戦場となっていたのは見れば分かるが無数の死体が着ている鎧や身
に着けている物はどれもゲームの世界に出てきそうな物ばかりだ
「(一体ここは何処だ? それにしても良い気分じゃねぇ)」
短く舌打ちして死体から一本、剣をぶんどると
痺れる足を地面に突き立て剣を支えに立ち上がる
早く此処から立ち去りたい。
刀夜はこみ上げる吐き気を押さえ剣を杖代わりに歩き出す
歩いていると、じきに無数の怒声と金属どうしがぶつかり合う音が聞こえてきた
それに吸い込まれるように刀夜の足は動き出す 一歩また一歩と
そして気付けば刀夜は駆け出していた
鉄の臭いと悲鳴の流れてくる風上に向かって行くと 見えた
それは、白い炎のようだった それを囲むように鎧を着た人たちがいる
闇を切り裂いて降る矢の雨の中、ひらひらとその炎は踊っていた
白い舌先は衣。神殿で舞う巫女のような、翼のような袖。
そこに混じる赤は振り乱れる炎のような長くて赤い髪。
ときおり炎を切り裂く、鈍い光は巨大な刃だ
……女?
いや少女だ。刀夜と同い年ぐらいの少女は身の丈ほどある無骨の大剣を
手に持ち怒声と矢と炎の中、優雅に舞っていた
「射て!! 射てぇええ!!!!」
怒声の号令と共に炎と矢が射かけられた
それだけではない、青白い電撃が白い軌跡を描きながら少女に向かって行く
少女の袖がひるがえり 大剣が虚空を薙ぐ
その瞬間少女に向っていたものは空中ですべて弾かれた
刀夜は止まる事なく歩き続ける
少女は隊列の乱れ目に突っ込むと大剣を振り下ろす
ゴバッ!と轟音と共に何本の槍と剣が人間の上半身と血しぶきに混じって跳ね飛んだ
刀夜は止まらない
すると何人かが刀夜に気付いたのか槍を、剣をかまえ突っ込んでくる
たぶん圧倒的な実力を見せられ思考回路がうまく働いていないのだろう
「向ってくるんなら……容赦しねぇぞ」
その瞬間、刀夜から繰り出された斬撃は向ってきた奴ら全員を薙ぎ払った
血しぶきを上げ悲鳴を上げる者もいれば絶命する者もいた
口からこみ上げてきたもの吐いたりとしたが刀夜の足は止まらない
次々と向ってくる者たちを斬殺していく
体が勝手に動く 血が 体が 騒ぎ出す
どうなっている?
剣が刀夜の肌をかすめても痛みがない
あるのは殺した感触のみ
どうなっている?
体の内側に何か黒いなまりのような物がうごめいている感じがする
呼吸が荒い 臭いで鼻がバカになりそうだ
「おまえは一体何者だ?」
声の主は少女だ。炎のような赤い髪 燃えるような黒い大きな瞳 頬にこびり付いた血
凛とした細い唇近くで見ると益々美しかった。
安心したのか少女の声が聞こえた瞬間、刀夜はスウーと力が抜けて倒れた
そして薄れる視界のなか刀夜はあるもの見た
このあたりに生きている者は自分達だけだったのに
少女の後ろにニッコリ微笑んだ小さな少女がいるのを見た
可愛らしい容姿の少女なのに、刀夜はどうしても死神か悪魔にしか見えなかった
刀夜は完全に意識を手放した
なんか全体的に暗い……。
セリフもあんまないし、やっぱり小説って書くの難しい!!!