2ストロークエンジン
翔太郎はガレージの中でSJ30ジムニーのボンネットを開けた。エンジンルームからは、かつての懐かしい香りが漂ってきた。2ストロークエンジンの特徴的なオイルの匂いだ。
「懐かしいな…」翔太郎はつぶやいた。彼が初めてこのエンジン音を聞いたのは、小学生の頃だった。父親がこのジムニーで山道を駆け巡っていた記憶が蘇る。
「このエンジン、本当に手強いんだよな。でも、あの音が好きだったんだ。」翔太郎は工具を手に取り、エンジンの点検を始めた。さびついたボルトを外し、パーツをひとつひとつ丁寧にチェックする。
「お前も大変だったんだな、長い間放置されて。」翔太郎はジムニーに語りかけるように言った。
エンジンを分解しながら、翔太郎は父親との思い出が次々と浮かんできた。父親と一緒に過ごした日々、山の中でキャンプをしたこと、ジムニーの故障を直すために二人で汗を流したこと。
「もう一度、あの頃のように走りたいな。」翔太郎は決意を新たにした。ジムニーを再び元気にするために、全力を尽くすことを誓った。
エンジンの修理作業は続く。翔太郎は集中して一つ一つのパーツを清掃し、交換が必要な部分を見極めていく。その間にも、2ストロークエンジンの独特の音が耳に残り続けた。
「これでよし。」最後のボルトを締め終えた翔太郎は、深呼吸をしてからエンジンをかけるために運転席に座った。キーを回すと、ジムニーは一瞬静かになり、次の瞬間、特徴的なエンジン音が響き渡った。
「よし、これでまた一緒に冒険できる。」翔太郎は笑顔で言った。
ジムニーの2ストロークエンジンの音が、再び彼と共に新たな冒険の始まりを告げていた。