この世界に馴染み過ぎた
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
何しましょうかね。
久方振りの残業帰り、ふと空を見る。空はまだ太陽の光を残してあり、午後三時を表していた。
日が長くなったと思う。夜を感じるとすぐにでも家路に着きたくなるので、これは有難い。そんな事を考えながら、駅まで続く道を無心で歩く。
GWが開けた後は唯ひたすらに次の休日を願っていたが、最近はそんな事も少なくなった。少なくとも、毎日悲鳴を上げながら起きることも、カレンダーを見ながら、残りの平日を数えることも無くなった。
ただ気が付いたら平日になり、また気が付いたら休日を迎える。その繰り返し。余りにも機械的で、突飛な事のない日々。だからこそ、今はまた、休日の過ごし方を考え兼ねているのである。
次の休みはどうしよう。何をしよう。何を食べよう。何処に行こう。そんな事が延々と脳裏を回って、回って、結局何も浮かばずに水曜日。結局何も決められない。
社会に染まったんだ。と気が付いた。余りにも虚空な機械に成り下がったのだと知った。
「……何も決められなくなってしまいました」
休日に此処を訪れた彼女は、淡々とそう言った。
精神状態は安定。特に悲観する事も、感怒する事もなく、どれだけ覗いても虚無が見える。ただその空蝉の様な今が、どうにも心配になって、思わず抱き締める。
「食べたいものは?」
「お腹は空いてないです」
「行きたい場所は?」
「軒並み訪れたので」
「疲れては?」
「今のところ健康ですよ」
一問一答を淡々と繰り返すだけの会話に、尚のこと心配になる。この子が何にも無感動になってしまったら、果たして今を生きている意味はあるのだろうか。
そんな心配を他所に、凭れる様に頭を預ける。その感触が今までの彼女のそれで、それだけが唯一の救いだった。
「……少し休んだら、また、見えるようになりますかね?」
「うん。そうだね」
そう言うと、僅かに口角を上げて微笑んだ。馴染みすぎただけだ。この世界に。
という訳で、休日何をするか、延々と考えてます。
久方振りに遠出でもしますかね。
社会人になると、気が付いたら休日で、気が付いたら平日なんですよ。