願いも虚しく、学舎はロゼメアリを指名した。
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説明のみ、短いです
二十年に、一度。
拓かれる学舎があると言う。
この国を含む八つの国を抱く大陸、その中心にある、高い高い山。神殿の総本山だと言うそこにある学舎。
八つの国から選ばれた子供たちが集められ、三年間、切磋琢磨しながら学ぶのだと言う。
父は私に、ロゼメアリとしてその学舎へ通えと命じた。姉のロゼではなく、今まで隠されて来た妹の私が。
と、言うのも。
選ばれる子供とは十歳から二十歳までの、各国の王族と高位貴族であり。
学舎内では平等が謳われるものの、地位がある以上、学舎の外へ出た先のことを忘れるわけには行かず。
すなわちいくら学舎と言えど、王族や自分より上の貴族に下手なことをすれば、お家取り潰しもあり得る。あるいは他国の要人に無礼でもあれば、戦争の火種にすらなりかねず。
そんなところにロゼをやるくらいなら、まだメアリの方がマシだと、父は判断したらしい。
なぜなら。
世情に疎い私はまったくもって知らなかったことだが。
姉のロゼは、男も女も老若男女問わず喰い散らかしてはボロ雑巾のように捨て、数多の相手と浮き名を流しまくる、稀代の悪女として、国内はおろか大陸全土に名が知られつつあるのだそうだ。
万一にも、この国より強い国の王族でも、同じように食い荒らしてポイしてはまずい。
家どころか国が揺らぎかねない。
どうか学舎に行く子供として、ロゼメアリは選ばれてくれるな。
そんな願いも虚しく、学舎はロゼメアリを指名した。
かくなる上はロゼを隠遁させ、メアリをロゼメアリとして学舎へ向かわせよう。
父のみならず国の重鎮の総意だったらしい。
一生を辺境の山奥で終わらせるつもりだった私にとっては、迷惑なことこの上なかったが。
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