雪山の温泉を目指して
リスとネコは大変仲良し。
2匹はある日こんな話をしていました。
「クマさんが前に雪山の温泉に入ったんだって」
「本当? 私も行きたい!」
「無理よ。寒いのが苦手なのにどうやって雪山まで行くの」
「行けるもん」
「私も行きたいけど、寒いから諦めたのよ。あなたも諦めなさい」
リスはこんなにも雪山の温泉に行きたいのに、ネコから完全に否定されて悲しくなり、またムキになってこんなことを言ってしまいました。
「雪山の温泉に入るまで絶対に戻ってこないから」
ネコは無茶よと止めようとしましたが、リスはその言葉を聞かずに出て行ってしまいました。
リスは最初は絶対にネコを見返してやると思って雪山の温泉を目指しておりましたが、何処にあるのかも分からず、また友達のネコにあんなに酷いことを言ってしまい、だんだん足が重くなっていることに気づきました。
でも迷子になってしまい帰ることも出来ません。
どうしようと泣きそうになった時、魔女が現れました。
「雪山の温泉に行きたいのね。なら叶えましょう」
すると魔女はリスを箒の前に乗せて移動し始めました。
そしてしばらくすると雪山の温泉に到着しました。
「楽しんできてね」
魔女がリスを下ろすと、リスは早速温泉に入ります。
身体も心も温めてくれて幸せでした。
リスは目指して良かったと思いました。
リスは温泉を十分楽しみ、もう少しここにいたいと思いながらも、温泉から出ました。
でも、温泉に出た途端リスは悲しくなりました。
帰ってネコに会う時に、どのような顔をして帰ればいいか分からなかったからです。
「大丈夫。仲直りできるわ」
魔女が渡してきたのは、温泉に入っているリスの写真でした。
「まずは酷いことを言ってごめんねと謝って。それから、この写真を見せて温泉のことを話してね。そうしたら仲直り出来るわ」
「本当に?」
「本当よ。魔女に分からないことはないのよ。信じて」
「うん」
こうしてリスは元の場所に戻って来ました。
リスはネコの家の扉を小さくトントンと叩きます。
するとゆっくりと扉が開き、ネコが出てきました。
「大丈夫なの?」
ネコはリスに飛びついて涙を浮かべました。
「大丈夫だよ。前は酷いこと言ってごめんね」
「こっちもごめんね」
「実は温泉に行ってきたよ」
リスはネコにあの写真を見せます。
ネコは凄いねと感心しました。
「今度一緒に行こうよ」
「うん、一緒に行きたい」
こうして2匹は仲直りしました。
2匹で一緒に温泉に行くのはもうすぐです。
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