表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なんともいえない

作者: けいし

僕は、日課となった散歩に出かけた。


月が変わって、一気に残暑が消えたようだ。

風が、涼しいと寒いの中間くらいの感じになった。


田んぼの稲は刈られているところと、これからのところがちらほらある。


依存気味になったスマホを、チラチラと眺めながら、田んぼ道を歩く。


しばらくして、やっとスマホをポケットにしまった。



今の季節ってなんとも言えない感じだな。

燃えるような、暑さと比べれば、確かに過ごしやすくはなった。

だけどなんとなく虚しいような、哀しいような。なんとも言えない感情が湧き上がってくる。

一歩一歩、足を進めていくごとに。


これといった特技、好きなもの、友達といえるもの。

何ひとつとして、パッとしない。

そう、今の季節のように。


田んぼ道を抜けると、住宅が立ち並んでいる。

その道を僕は今、歩いている。


家の前で遊ぶ子供とか、家に帰る子供たちとか、晩御飯の香りとか、生活感のある様子が伺える。


ここでもまた、羨ましいようななんとも言えないような。


僕は、今20歳だ。

この年も、僕にとっては、なんとも言えないものだ。

お酒とかも飲める年齢で、子供という制限が全てなくなった歳でもある。


だが、なんだろう、このやるせなさは。


僕はというと、年齢だけ20歳になっただけで、過去に囚われている状態だ。


子供を見ると、自分もあんなふうに、遊んで、汗を流して、みんなと一緒に喋りながら、家に帰るとか、

そんな人生を送りたかったものだ。


まあ、そうこう考えているうちに、あと少し歩けば、家に着くところに辿り着いた。


とりあえず、今日も、いつも通りでいようか、それができるだけでも、幸せなんだからな。


陽は落ち、夜の虫が鳴き始めた。

彼の心の虚しさを落ち着かせようとするかのように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ