表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/29

28 ハゲ坊主、赦さぬ



「ハゲ坊主許さん!ハゲ坊主許さん!ハゲ坊主赦さんんんんんーーッ!」


畳に置かれた雑な藁人形に、容赦なく右ストレートをぶつける。


「〝インパクト〟ッッ!!」


ドォンという派手な爆音をたてて、藁人形に衝撃波を叩き込む。

クシャッと軽い音を鳴らして、藁に貼られた、神と記された紙切れが粉々に砕ける。


 「グォォァァァァァ!!」


 ヒラヒラと宙に舞った大きな紙の破片に、右ミドルを食らわせる。···ハゲ坊主許さん。


「ふー、ふー·····」


····ハゲ坊主許さん。


「何やら大きな音がしましたが!いかがいたした!?」


「いや、何でもないですよ····ははっ」


慌てた表情で襖を開ける若い僧に微笑んで挨拶する···ハゲ坊主許さん。


「そうですか····」


「ハハハ····」



·····ハゲ坊主許さん。


「はァ、はぁ、ステータスオープン!」




=======


名前 (なし)


魔人Lv1


ジョブ:ダンジョンマスター


HP:600

MP:200

攻撃力:150

防御力:150

素早さ:150



スキル

【 迷彩Lv11⠀】

【防護結界Lv10】

【瞬間加速Lv10】

❝口からビームLvEXTRA❞

❝怒った時体から雷出すやつLvEXTRA❞

❝特殊衝撃波LvEXTRA❞

・〈呪い(石化)Lv10〉


パッシブスキル

・〈魔窟の王Lv10〉


称号

・ダンジョン運営者Lv10


[ダンジョン確認]

===============



おぉ!少し見ないうちに結構上がった気がするな。コボルト達元気にしてるかな?····してるだろうな、うん。別に俺が世話してた訳じゃないもんな。


···ってかダンジョン確認ってなんだ?


『試してみるか、[ダンジョン確認]!』


ヴォンっという聞き覚えのある音をたてて、空中にウィンドウが浮かび上がる。うんあれだ、いつものあれだ。お馴染みのウィンドウ君だ。



 「おぉ!スゲーな!」


 太めの長方形の図が、ウィンドウいっぱいに描かれていた。

図の右の方には、なにやら四角い表示があり、ご丁寧にも〈鉱石の玉座〉と書かれている。


〝ボスの間〟の地図が描かれているようだ。

底の方には、1から10まで数字がある。どうやらダンジョン十階層全ての地図があるみたいだ。



「お、走ってる走ってる····」


 クルクル動く十個のコボルトの点を眺める。コボルトの点だから、点Kか。数学の問題に出そうだな。数学は嫌いだ·····つまり、ハゲ坊主許さん。


「バジリスクも元気そうだな·····」


なんだよ····俺抜きでも全然やってけんじゃないか。

まぁまだ冒険者が来てないからってのがデカイな。ダンジョンの開通はまだまだ先になりそうだ····。


 そういや地上の人達はダンジョンをどう思ってんだろ?

生産的な面があるから、ガチガチの敵とは認識されてないと思うが····どうかなー、されてないといいな〜。····だからハゲ坊主許さん。



『ハゲ坊主許さん。』


 「失礼します、布団を───ヒェッ!」


 睨まれた坊主が、悲鳴を上げて布団を取り落とす。

····ボウズだな···はっ!



 「すまないこれも全てあのハゲ坊主のせいなのだ。」


「···?··?」


困惑する坊主から布団を受け取り、呆然とした顔の坊主を閉め出す。それもこれも、全てはあのハゲ坊主のせいだ。····ハゲ坊主許さん。


 せっかく外に出られて美味いもの食えたり冒険者の様子を見たり美味いもの食えたり国を観光したり俺TUEEEEしたり美味いもの食えたりすると思ったのにィィィィイイイ!


····ハゲ坊主、許さん!


「クソっ、このままでは全世界のハゲ坊主を虐殺せねば気が収まらん!」


世界中のハゲ坊主共め、どうしてくれよぅ。

八つ裂きにして食ってやろうか?それとも釜茹でに····。



「フー、フー····落ち着け、落ち着くんだ、俺。」


ハゲ坊主に罪は無い。いや、ハゲ坊主に罪はあるが、それはあの特定のハゲ坊主が背負うべきもので、全国の清廉潔白なるハゲ坊主達が負うべきもので断じてない。


まぁ要するに何を言いたいかと言うと·····ハゲ坊主許さん。



「ふー····いかんな、心が乱れてる。」


こういう時はあれだ、座禅をするに限る。心を鎮めるのだ。



「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経·····カァァァッ!!」


!!俺はついに世界の真理に目覚めたぞ!完璧な心を手に入れた今の俺なら、たとえ地獄の炎でも笑顔で吹き消せる!


ヒラリと、天井に張り付いていた紙切れが地に落ちる。

そこには、ただ一文字、『神』と書かれていた。


「ふー、ふー····よし大丈夫、怒りを抑えてるぞ·····」



「失礼します·····ライル様から伝言を預かっております」

「ッッ!!」


「明日の朝、食堂でお話がある──、との事です。」

「そうか····分かった···」


スーッと音をたてて、襖が閉じる。



「·····ハゲ坊主、許さん。」


ハゲ坊主は許さない····。俺は襖を隔てて沈みゆく太陽に、そう誓った。


「風呂入るか·····っとその前に、ハゲ坊主許さん。」






ボチボチ頑張っていきますわ。これからも応援よろしくお願いします!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ