24 チートルーレット
「くそぅ·····」
顔は解けたのに、何故か首から下の石化が解けない。
「まぁまぁ、そんなに興奮しないでください····」
ハゲ坊主が悟った様な顔で宥めてくる。
····とてもムカつく。
「あの後色々調べてみたけど、大抵の転生には特典があるらしいね?」
「ん?まぁそうか·····」
確かに転生に特典は付き物だが····。
果たしてこいつが素直にチートをくれるのだろうか?
「君の考えは心外だが、安心したまえ····約束は守るよ。だって僕──────」
ハゲ坊主が人差し指を立ててポーズをとる。
「神様だから·····フッ、決まった。」
····決まってねーよ、このハゲが。
「あと転生させる時に〈言語〉スキルを渡し忘れていてね·····ええと·····これをこうして····」
ハゲ神の右手から放たれた光の球が、俺の石化した胸に吸い込まれていく。
〈特殊スキル〈言語理解EXTRA〉と〈ネイティブEXTRA〉を取得しました〉
【譲歩者■▼■■の干渉により、吸収が行われました このスキルはステータスに表示されません 】
頭の中で、いつものメッセージが流れる。
なるほど、これでこの世界の言葉を話せるようになったのか····。
これは礼を言っておくか·····と思ったが、ハゲ坊主はブレイクダンスを踊っていたので、やめておいた。
·····ムカつくからな。
ハゲ坊主がヘッドスピンしながらウザイ顔してこちらを見てくる·····
「なんだろう、いい加減ハゲ坊主って呼ぶのやめてもらっていいですか」
顔ウゼェ·····。
散眼を使ってる愚地〇歩みたいだ。
ポウッ、ってな····。
っていうか地面岩だけどそんなスピンして頭皮大丈夫?
「あ、そうか···もう禿げてるもんねぇぇぇ!」
「グォァァァき、貴様ァァァ!!」
うぉっ、物凄い回転で地面が削られている!?
とんでもねぇ回転だぜ、ありゃぁ····。
「で?転生特典はどうすんの?」
え、それって俺が決めていいの?
じゃぁー·····。
「無敵とかは?」
「ダメ」
「タイムストップは?」
「ん〜、ダメ」
「瞬間移動」
「あ〜·····」
お、いいのか?
「ダメ」
oh·····。
「攻撃無効」
「無理」
「魔力無限」
「やだ」
「·····」
「やーだー·····」
クソがァッッ!
ぶっ殺してやる!
このクソハゲ野郎がぁ!
体が動かないので顔だけで殴りかかろうとする俺の気迫に、ハゲ坊主が一瞬ビビる。
「ちょ、脅かさないでくれよー」
ふざけんな、じゃぁなんならいいんだよ。
「ちょっと待って、えぇ〜と·····」
隅っこの方に行って、亜空間から出した本をめくるハゲ·····。
·····ラノベ読んでるんじゃねぇよ。
「死に戻りとかどうよ?」
リ〇ロかよ····おもろいよな、あれ。
····でもないわ、強いけど無いわ····俺は楽しい異世界ライフを望んでるからな。
「しょうがないな〜」
ハゲ坊主がお腹に出現させた亜空間を探り、何かを取り出す。
「テッテレー!チートルーレットぉぉ〜〜!!」