23 ダ〇アーリスペクト
「ハゲ坊主ゥ貴様ァァァ!!」
今まで溜まった鬱憤を込めた拳をハゲ坊主目掛けて打ち込む。
····異世界転生させてくれた事は感謝しよう!だがッッ!この仕打ちはなんだ!?
ダンジョンマスターは良いよ、うん、いいんだよ別に!
でも外に出れねーんだよ!
他のダンジョンマスターが意思ある生き物なのかは知らないが、人間だった俺からすると外に出れないのはかなりストレスだ。
早く外に出て異世界テンプレを体験したいのに·····俺TUEEEEも·····。
ハゲ坊主が俺のジャブをぬるりと躱す。
それだけでなく、追撃で出した高速右ストレートすらも·····。
ダッキング·····だと!?
この坊主·····できるッッ!
ジャブ、ストレート、ボディー、フック·····
俺が前世の暇時間で鍛え上げたコンビネーションの尽くが、奇天烈な動きで躱されていく。
こうなったら·····あの技を使うしかない!
コンビネーションを止めて一歩離れてから、ハゲ坊主目掛けて大跳躍する。
魔人となった今では、1メートル以上の高さでも楽々と飛び上がる事が出来る!
「必殺!」
「む!?」
ハゲの顎を狙ってドロップキックをかます。
だが当然、そんな大振りな攻撃が当たるはずなくキックはハゲ坊主の両手に防がれる─────
ハッ、馬鹿め·····
「かかったなアホがッッ!!」
「ヌゥ!」
ドロップキックをガートした両手を、キックした両足でこじ開ける。
ふふふ····今までこれを破った格闘家は一人もいないッ!
····喰らえハゲ坊主ッッ!!
「サンダーク〇ス〇プリットアタックゥッ!!」
「気化石化法!!」
ピシリッ
俺の体が嫌な音を立てた····
ば、バカ····な·····足が動かん·····!?
···くそッ何故だ!
「貧弱貧弱ゥゥッ!!」
一瞬で足を石像に変えた呪いが瞬く間に肩を侵食する·····
「きっ····きさま····」
「ちょいとでもこの俺にかなうとでも思ったか?このマヌケがぁ〜!」
やがて頭の半分が石となる·····
「う、うわぁぁあぁーーーっ!!」
ハゲ坊主を前に、俺は最後の咆哮を上げる
ぴしりという音と共に、俺の体は石化した。