12 昼飯を食う迷彩魔王
いま思ったがダンジョンマスターは魔王なのだろうか?
「まぁいいか·····」
声だけが洞窟を木霊する
声は間違いなく玉座から聞こえてきたのだが、玉座には誰も座っていない····。
····が、よく見ると1人の男が座っていた。
そう、俺である。
暇だったので〈迷彩Lv1〉スキルを使ってみた。
体だけでなく着ている服にまで背景の模様が浮かび上がって、中々に面白い。
今の所はまだ目を凝らせばバレる程度だが、レベルを上げていけばいずれは実戦でも使える様になるだろう。
いやー、楽しみ。
スキルのレベル上げも兼ねて、できる限り発動し続ける事にしよう。
微々たる量だが、発動を継続してる間は魔力を消費している様だ。
もしかしたら魔力量も鍛えられるかもしれん。
「よっと·····」
背景と同化しながら玉座から飛び降りる
この体は高性能で快適だ。
どういう仕組みか分からないが、体も汚れないしトイレに行く必要も無い。
ほわほわ浮かぶダンジョンコアをつついてウィンドウを出す。
別につつかなくても心で念じればウィンドウは出るのだが、癖がついてしまった。
《アイテム交換》で、食事を交換する。
今日の昼メシはボアの串焼き(1本«15P»)を2本と、お茶碗一杯分の米«10P»だ。
残りポイント数[15160P]
地面から湧き出る様に出現したボアの串焼きが湯気を立てる。
調べると、ボアはやはりイノシシ系の魔物の様だ。
検索によると
【ボアの串焼きは、世界中に広く認知されている屋台料理である。イノシシ系モンスターであるボアやその亜種等をこだわりのタレに漬けて炭火で焼いた、シンプルながらも味わい深い一品。】
····だそうだ。
という訳で····
「いただきま〜す!」
串焼きを口に放り込み、米を掻き込む
「く〜っ、うまい!」
焼き鳥に似た風味のタレが、噛みごたえのあるボア肉に絡んで絶妙な旨みを醸し出している。
米が普通の白米じゃなく、雑穀が混じっているのもまた良い。
これは当たりだな····。
俺は2本目の串焼きに手をかけながらそんな事を思った。