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第九話「桃太郎は心優しい青年です」

桃から生まれた男の子は桃太郎と名づけられました。

桃太郎はとにかくよく食べる子で、貧しいおじいさんとおばあさんの家では十分食べさせてあげることが出来ません。


ごはん一杯では足りず、二杯、三杯、百杯と欲しがります。

困り果てているおじいさんとおばあさんを見て、近隣の人々も心配してごはんをもってやってきました。


いつか鬼を退治して、自分たちの生活を助けてくれるのだからと、たくさんの人たちが集まって来てご飯を出し合い、いつしか近所の人だけでなく、町中の人が協力して桃太郎を育てていました。


たくさんの人たちに大事に育てられた桃太郎は、おかげで心優しい立派な若者に育ちました。


「おじいさん、おばあさん、ご近所の皆様、町の皆様、私を育ててくれた皆様、私はそろそろ鬼退治に出かけます」


そろそろ、鬼の悪い評判が流れてきていましたから、この時が近いのではと心配してきた人々は桃太郎の言葉に心配しました。なにせ、赤ん坊の頃からみんなで大事に育ててきた男の子です。


それはそれは心配して、まだ早いのではないかと言い合いました。


しかし、桃太郎はその時をよく知っていました。

それにお世話になった人たちに恩返しもしたかったのです。


「今が出発の時なのです。どうか私にきびだんごをください」


桃太郎を心配する人々、おじいさんおばあさん、近所の人、町の人々、全員がきびだんごを持ってきたので、きびだんごは手押し車四台分にもなりました。


桃太郎が手押し車四台を引っ張りながら進んでいくと、きびだんごが欲しいとたくさんの犬とサルときじが集まりました。


桃太郎はたくさんの犬とサルとキジを連れて鬼ヶ島へ向かいました。


しかし、実は桃太郎と心配する人々がこっそりとついてきていたのです。


なにせ、初めて家を出て旅をするのです。

しかも初めての冒険が鬼退治ときたら、それはもう心配になるものです。


桃太郎と犬たちとサルたちとキジたちが鬼ヶ島に渡ると、こっそり大勢の心配する人々もあとから鬼ヶ島に上陸しました。


鬼が現れ、いざ戦いが始まると、桃太郎を心配する人々も応援に回ります。


こっそりと危なくなると、石を投げたり、鬼を後ろから殴ったり、桃太郎が怪我をしないように陰から必死に守ります。


鬼ヶ島にいた鬼よりもはるかに桃太郎や応援する人々の数が多かったのですから、結果はあっさりと鬼の負けでした。


「参った。降参します」


そう鬼が言った途端、桃太郎を応援してついてきた人々は立ち上がり拍手喝采しました。


「よくやった桃太郎!」


「偉いぞ!さすが私たちの息子だ。」


口々にほめたたえ、桃太郎は照れ臭そうに笑いました。


皆に愛されて育った桃太郎、お宝をみんなで分けて、町に戻ると人のため、世のため、たくましい力で皆の仕事を手伝い、さらにたくさんの人たちから慕われて暮らしたということです。





おしまい

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