第十三話「人違い…」
むかし、むかし、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが洗濯をしていると、きらきらと輝いている竹が流れてきました。
おばあさんは驚いて竹を拾い上げました。
竹はおばあさんの身長より少し長いぐらいで、真ん中の櫛の部分だけが輝いています。
おばあさんは思いました。
「これは洗濯を干すのにちょうどいい竿になる。ちょうど良かった。」
おばあさんは、洗い終わった洗濯物と、洗濯竿にぴったりの川から拾った竹をもって家に帰りました。
おじいさんは、器用に竿を軒下にかけました。
「これで雨の日もここに洗濯物を干せますね」
おじいさんもおばあさんも喜びましたが、もっとうれしい誤算がありました。
竹は真ん中が光り輝いていましたので、夜になると灯りにもなったのです。
灯りに使う油がとても高価だったので、おじいさんとおばあさんは夜になると竿を取り込み、家の中に竿を置いて灯りを取り、その下で草履を編んだり、機を織ったりも出来るようになりました。
そしてそれを売って、町に売りに行き、暮らしも少しだけ良くなりました。
そんな日々を送っていたある日のこと、町から帰ったおじいさんがおばあさんに言いました。
「今日町で面白い話を聞いたよ。どこかの村で竹林から大きな桃が生えていたそうだよ。
中から赤ん坊が出てきて、育ててみたらその子が鬼退治に行くと言い出したんだ。
だがな、月から来た迎えの者たちというのがその子を連れて行ってしまったと言っていた。
だいぶもめたそうだよ。
なんでもその子は人違いだって叫んでいたそうだ
一体なんだったのかねぇ。」
「なんだかおかしな話ですねえ」
おばあさんはそう言って、明るい竹の光を頼りに作った夕食を並べました。
「とにかく、夕飯にしましょうか」
ふたりはそれからも慎ましくも明るく暮らしたそうです。
おしまい




